世界最大手食品・飲料メーカーのネスレは8月21日、動物保護に取り組む国際NGOのWorld Animal Protectionとのパートナーシップ合意に署名し、同社のサプライチェーンにおけるアニマルウェルフェア(動物福祉)への取り組みを強化することを発表した。
今回の合意により、ネスレはアニマルウェルフェアを推進するNGOとの国際的パートナーシップを締結した初めての大手食品会社となり、今後は同社が仕入れる乳製品、肉類、卵などを供給する農場は全てアニマルウェルフェアの厳しい基準を満たさなくてはならなくなる。
World Animal Protectionは過去50年以上に渡って政府や地域コミュニティ、国際機関らと協力しながらアニマルウェルフェアの向上に尽力してきた国際NGOだ。同NGOの最高責任者を務めるMike Baker氏は「アニマルウェルフェアに対するネスレのコミットメントが明確であること、またこの合意が世界中で飼育されている数百万の家畜に持続的な変化をもたらしてくれることから、ネスレとの協力を決めた」と語る。
現在、ネスレ向けに牛乳、肉、卵など動物由来の製品を直接供給しているサプライヤーは約7,300存在しており、それらのサプライヤーらも他のサプライヤーから商品を購入している。従って、ネスレの"Responsible Sourcing Guideline"(責任調達ガイドライン)は、全世界の数十万という農家に適用されることになる。
ネスレで責任調達の責任者を務めるBenjamin Ware氏は「我々は消費者がアニマルウェルフェアに関心を持っていることを理解しており、当社のグローバルサプライチェーンにおいて可能な限り高いレベルでアニマルウェルフェアを確保することにコミットしている」と述べた。
ネスレのアニマルウェルフェアに関する取り組みとしては、家畜が正常に動ける十分な飼育スペースを確保することや、牛の角を切除し互いに傷付けるのを防ぐなど、獣医学診療を活用して家畜の苦痛を最小限に抑える活動などが行われている。
また、ネスレはサプライヤー農家らがアニマルウェルフェアの基準を満たしているかの監査をSGSに依頼しており、2014年には世界規模で数百の農家を対象に監査が行われ、中には事前通知無しでWorld Animal Protection関係者の立ち合いのもと行われたものもあったという。基準を満たさない農家があった場合、ネスレは農家と共同で改善策を講じ、それでも基準を満たすことができない場合や農家が改善の努力を見せない場合にはネスレへの商品供給が停止されることになる。
今回の合意には人権、安全衛生、環境問題にも関連したコミットメントも含まれており、その中には、肉類、卵、乳製品などネスレ商品の40%を占める主力製品について、来年末までに完全に追跡可能にするという目標も掲げられている。
【企業サイト】Nestlé
【団体サイト】World Animal Protection
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