世界で水不足リスクに対する懸念が増す中、サステナビリティに関するアドボカシーNPOのセリーズは3月10日、世界の投資家向けに水課題に対する分析と意思決定を支援するハンドブック"Investor Handbook for Water Risk Integration(投資家ハンドブック:水リスクの統合)"を公表した。
同ハンドブックは、機関投資家および水問題の専門家へのヒアリングに基づき、いかに水課題を中心としたESG要素を投資戦略に統合するかについてまとめたものだ。主に水関連の投資慣行に焦点を当てており、どのように水要因を投資方針、ポートフォリオ管理、戦略プランニング、顧客との信頼構築に取り込んでいくかについての専門的なアドバイスが含まれている。
また、同ハンドブックでは水リスクは既に顕在化しており、かつ拡大していることを明らかにしている。人口増加、需要の逼迫と気候変動の影響を受け、世界経済フォーラムは先日、水不足を世界最大のリスクだと発表したばかりだ。現在世界では10億人以上の人が既に「水ストレス地域」に居住しており、その数が2025年までに2、3倍に増加する見通しだ。米国の中西部とカリフォルニア州、中国、ブラジルで起こっている干ばつは、既に企業活動のみならず経済全体に影響を及ぼしている。
同ハンドブックを作成したセリーズ金融アナリストのMonika Freyman氏は「世界の水リスクは企業、債券発行者、インフラ、そして経済全体にとっての大きな脅威となりつつあるが、投資家の多くはまだ水リスクがどのように自身のポートフォリオに影響を及ぼすかについて、充分に評価しきれていない。このハンドブックは、水課題をより深く、広く理解するためのステップを提示することで、投資家のためだけではなく、将来世代のための活力ある経済の実現に向けてより持続可能な水慣行に貢献することを目指している」と語った。
水不足というと一部の国と地域の問題のように思いがちだが、実は農産物の輸入による仮想水も考慮すれば世界最大の水輸入国でもある日本も、この問題と無関係ではいられない。世界的な人口増加と経済発展により水需要が膨らむ中、どのように水のサステナビリティを確保していくかはあらゆる業界、企業にとって最重要課題でもある。同ハンドブックは投資家向けだが、世界の水リスクを正確に把握する上ではとても参考になる。レポートは下記からダウンロード可能(要登録)。
【レポートダウンロード】Investor Handbook for Water Risk Integration
【団体サイト】Ceres
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