世界最大の化学メーカーが、サステナビリティ戦略を中長期における事業戦略の核に据えている。米化学大手のザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(以下、ダウ)は5月15日、2025年に向けた新たなサステナビリティ目標を公表した。
ダウは今後、2025年までの10年間で同社のイノベーション力、世界全体へのリーチ力、そして献身的な従業員の力を最大限に活用し、10億人の人々の生活にポジティブな影響をもたらし、10億米ドルのコスト削減または新たな収益を生み出す大胆かつ積極的なサステナビリティ目標の達成に挑むことを宣言した。ダウが掲げた7つの目標は下記の通りだ。
Leading the Blueprint(計画作りを主導する)
より持続可能な地球および社会の実現に向けて、公共政策、科学技術、バリューチェーンのイノベーションを統合する。官民セクターと100の対話を重ね、10の新たな協働を行いながら、それらに基づいて2017年末までに初期計画を公開する予定。
Delivering Breakthrough Innovations(画期的なイノベーションの実現)
持続可能な化学イノベーションを生み出し、2025年までにダウの製品ポートフォリオを通じて持続可能な開発に対して6倍のポジティブなインパクト創出を目指す。また、製品ライフサイクル全体で排出するCO2の3倍以上をオフセットし、使用するエネルギーの3倍以上のエネルギーを節約する。
Advancing a Circular Economy(循環型経済の促進)
廃棄物が新たな製品やサービスにつながるような世界規模の循環型経済の促進にむけ、2025年までに他の業界リーダー、NPO、政府と共に6つの主要プロジェクトを立ち上げる。
Valuing Nature(自然資本の価値評価)
経営上の意思決定に自然資本の価値を取り入れる。企業および生態系の双方に良いプロジェクトを通じてビジネス上の価値と自然資本価値の双方を創出する。2025年までに正味現在価値において10億米ドル分のコスト削減または新たな収益創出を目指す。
Increasing Confidence in Chemical Technology(化学技術への信頼性向上)
透明性、対話、新たな連携、研究、企業による実践を通じて化学技術の安全な使用に関する信頼性を高める。2025年までにNPOや企業、政府らと協働して革新的な予測モデルを開発し、それらを新製品評価に100%統合する。
Engaging Employees for Impact(インパクト創出に向けた従業員エンゲージメント)
2025年までにダウの従業員らは世界中の学生や教員らのSTEM(科学、技術、工学、数学)教育を支援するために60万時間を投入し、世界中で700のサステナビリティに関するボランティア・プロジェクトを実行し、10億人の人々に対してポジティブな影響を与える。
World-Leading Operations Performance(世界をリードするパフォーマンス)
引き続き天然資源の効率的な使用、環境、健康、安全といった分野において世界をリードし、2025年までには水不足地域における淡水資源の利用と廃棄物を20%削減する。また、再生可能エネルギーから400メガワットの電力を生成し、職場の安全にも努める。
今回ダウが発表した2025目標は、1995年に初めてサステナビリティ目標を設定して以来、三度目の目標設定となる。ダウが最初に掲げた2005年までの環境・健康・安全目標では、10億円の投資の結果として安全性向上や廃棄物・水・エネルギー削減により50億米ドルのリターンを生み出した。また、次の10年間における2015サステナビリティ目標においては、グローバル課題の解決につながる持続可能な製品・ソリューションを生み出し、サステナビリティ先進企業としての同社の地位を確かなものにした。過去20年間でサステナビリティを事業に統合することで大きく進化を遂げたダウが、次の10年でどうようなイノベーションをもたらすのか、業界を超えて注目が集まる。
【参考サイト】2025 Sustainability Goals
【参照リリース】Dow Launches 2025 Sustainability Goals to Help Redefine the Role of Business in Society
【企業サイト】The Dow Chemical Company
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