【ドイツ】政府、2020年までに褐炭火力発電所5つの停止を発表 2015/07/31 最新ニュース

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 ドイツが褐炭火力発電の削減に乗り出した。連立政権を構成するキリスト教民主同盟(党首はメルケル首相)、キリスト教社会同盟、社会民主党は7月2日、発電の主力の一つである褐炭(低品位炭)での火力発電所を2020年までに5ヶ所(発電容量合計2,700MW)操業停止にすることで合意した。質の低い褐炭での火力発電は、大気汚染や二酸化炭素排出量増加を引き起こしており、ドイツ政府は2020年までに二酸化炭素排出量を1990年比で40%削減するという目標の達成のため、今回の判断に至った。

 ドイツは福島第一原子力発電所事故を機に国内の原子力発電所を全廃する方針を決定し、反原発主義者から大きな賞賛を浴びたが、一方で環境対策としては後退したという見方があった。ドイツが原子力発電の代わりとなるエネルギー源として頼ったのが、国内に豊富に存在する褐炭。世界石炭協会の統計によると、褐炭の埋蔵量はドイツが18,300万tで世界最大、2位ロシア(7,300万t)、3位米国(7,000万t)4位ポーランド(6,600万t)を大きく引き離している。褐炭は、未利用の石炭であり、新たなエネルギー源として注目されていたが、一方で硫黄化合物を多く含むことによる大気汚染や、二酸化炭素排出量も増加させるとの懸念も強い。実際、褐炭火力発電所を増加させたドイツでは、温室効果ガス排出量がここ数年増加し、政府課題となっていた。

 褐炭火力発電削減の方針により、政府が改めて注力するのは再生可能エネルギーだ。従来ドイツでは、北海やバルト海に近い北部地域で再生可能エネルギー開発が進む一方、工業の中心地であるドイツ南部では石炭依存が続いていた。政府は今回同時に、北部の再生可能ネルギー発電所と南部の産業集積地を結ぶ高圧送電網を整備することにも合意している。

 環境イメージが強いドイツでも、今回の合意が容易に達せられたわけではない。メルケル政権のガブリエル経済相は、当初、石炭火力発電所に対する課徴税措置を検討していたが、産業界や電力業界からの大きな反発を生み、この案は撤回された。今回の合意内容をそれに代わるもので、環境破壊の大きい褐炭発電のみをターゲットにした。一方、再生可能エネルギーには電力の安定供給に対する不安も多く、連立与党3党は、褐炭火力発電を停止しつつも、電力不足時には臨時稼働される予備電力としてとっておくことにも合意し、一定の譲歩も見せた。電力会社は留保電源として褐炭火力発電を稼働率を抑えて抱え続けることに対する補償措置を求めているが、それについては結論はまだ出ていない。

 ドイツは褐炭以外の石炭火力発電も急ピッチで増加させており、今回の合意で石炭依存自体が終焉するわけではない。しかしながら、環境悪化の大きな要因となっていた褐炭火力発電削減の意味は大きい。再生可能エネルギーと石炭火力発電のバランスをどのようにとっていくのか、ドイツのさらなる奮闘から目が離せない。

【参照リリース】Germany to mothball largest coal power plants to meet climate targets

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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