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【アメリカ】トランプ大統領のパリ協定離脱政策。政権内やエネルギー業界から残留を求める声も

 トランプ政権内で、パリ協定からの離脱派と残留派との間で意見対立が起きている。また、トランプ大統領が大統領選挙期間中に「パリ協定からの離脱」政策を表明したことで、同政策への支持を行うと見られていた石油業界からも、パリ協定への残留の声が出ている。4月18日のブルームバーグが報じた。

 ブルームバーグによると、トランプ政権内で、パリ協定離脱派は、スコット・プルイット環境保護庁(EPA)長官とスティーブン・バノン首席戦略官・大統領上級顧問。プルイット長官は、環境懐疑派として環境保護庁長官に就任した肝入りの気候変動否定論者。また、バノン首席戦略官は、保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース・ネットワーク」を運営し、大統領選挙中からトランプ大統領の保守系政策立案の立役者となった人物。しかし、バノン氏は最近、トランプ大統領が何としても実現したかった「オバマケア(前オバマ政権時代に創設された国民健康保険制度)」の廃止において、共和党内でのとりまとめを混乱させた張本人だと目されており、トランプ大統領から距離を置かれていると言われている。4月5日にトランプ大統領が米国家安全保障会議(NSC)を再編した際にも、バノン氏はメンバーから外されており、役割の低下が指摘されている。

 一方のパリ協定残留派は、大統領の娘であるイヴァンカ・トランプ氏と、夫のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問、そして石油・ガス世界大手エクソンモービル前会長兼CEOのレックス・ティラーソン国務長官。ブルームバーグによると、ティラーソン国務長官は、ホワイトハウスのエネルギー・環境問題のアドバイザーであるジョージ・バンク氏に書簡を送り、パリ協定への残留を繰り返し訴えているという。エクソンモービルは、石油だけでなく天然ガス開発にも注力しており、気候変動対策のため石油・石炭から天然ガスへエネルギーシフトしつつある世界情勢を背景に、パリ協定を支持している。同様に、他の世界大手BPの広報担当者も「当初からパリ協定を歓迎し、引き続き支持し続けて行く」と表明。ロイヤル・ダッチ・シェルの広報担当者も「気候変動に取り組みつつ、世界が必要とするエネルギーを提供する事は可能だ」と述べ、パリ協定を「強く支持している」と語っている。

【参考】【アメリカ】一部の大手石炭採掘企業、トランプ政権にパリ協定への残留を要請(2017年4月18日)

 もちろん、石油・天然ガス業界が一斉にパリ協定を支持しているわけではない。米国国内での石油採掘がメインの独立系石油会社は、パリ協定への反対の意向。だが、業界内での意見がまとまらず、アメリカ石油協会(API)はパリ協定に対して正式な立場を表明できずにいるとブルームバーグは報じている。

 トランプ大統領の支持が厚いと言われるイヴァンカ・トランプ氏。また、共和党の中でも、主流派と保守派の間で必ずしもパリ協定離脱の方針でまとまっているわけではない。政権内での綱引きが続いている。

【参考ページ】Exxon and Shell Join Ivanka Trump to Defend Paris Climate Accord

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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