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【オランダ】欧州委員会、イケアへの法人税優遇の疑いでオランダ税当局に対する捜査を開始

 欧州委員会は12月18日、家具世界大手スウェーデンのイケアに関連し、オランダでの租税に関する捜査を開始すると発表した。オランダ税当局がイケアに対し不当な税優遇をした疑い。捜査の直接的な対象はイケアではなくオランダ税当局。オランダは法人税率が低く、欧州企業を始め節税に活用されている。EUは、EU法に違反するBEPS(税源浸食と利益移転)があったと見ている。今回EUがオランダ税当局の捜査を開始したことで、結果によってはオランダでの節税がしづらくなる。

 本件で関連捜査を受けるのはオランダにある「Inter Ikea」。世界中にあるイケアのフランチャイズ店舗は、「Inter Ikea」の子会社「Inter Ikea System」に対し毎年3%のフランチャイズ手数料を支払うことになっている。オランダの2つの租税ルールは、「Inter Ikea System」に対し非常に低い法人税を許容している。まず、2006年ルールでは、Inter Ikea Systemsが利益の一部を、ルクセンブルクにあるイケアの別の子会社「I.I. Holding」にライセンスフィーとして支払うことを認めている。I.I. Holdingはイケアの知的財産の一部を所有、管理している。ルクセンブルクの税法では法人税が免税される租税ルールがあったが、欧州委員会が2006年に違法認定したため2010年10月30日以降は廃止されている。

 2つ目のルールは2011年に下された課税判断。オランダにある「Inter Ikea」は、I.I Holdingに対する知的財産を2011年に買収。その際に、イケアの全資産を所有するリヒテンシュタイン籍の財団「Interogo」から融資を受けた。オランダ税当局は2011年、Inter IkeaからInterogoへの金利支払を損金として認める判断を下した。

 欧州議会の一部グループの報告書によると、イケアは2009年から2014年の間に10億ユーロ(約1,300億円)の租税を回避しているという。しかし、欧州委員会は捜査が終了するまで本来オランダに納税しなければいけなかった額は明らかにしない方針。

 EUではBEPS対策を強化する姿勢を鮮明にしている。EU加盟国の財務相は12月5日、EUが初めて作成したタックスヘイブン・ブラックリストを採択。ブラックリストに載った国は、米領サモア、バーレーン、バルバドス、グレナダ、米領グアム、韓国、マカオ、マーシャル諸島、モンゴル、ナミビア、パラオ、パナマ、セントルシア、米領サモア、トリニダード・トバゴ、チュニジア、アラブ首長国連邦。同時に、現在タックスヘイブンと認められるが改革を進めている国を「グレイリスト」とし、47ヶ国をリストに掲載した。続いて欧州議会は12月13日、パナマ文書調査委員会が作成した報告書を採択し、EU全域で法人税の租税回避を撲滅する提言に賛成する決議も採択した。

 すでに欧州委員会は、アマゾンに対し2億5,000万ユーロをルクセンブルクに納税することを命令。ルクセンブルクは今年12月、この措置を不服とし控訴した。アップルも昨年、アイルランドに1,300億ユーロを納税する措置を命じ、アイルランドは当初控訴していたが、今年12月受け入れることを決めた。2015年には、スターバックスに対しオランダに2,000万ユーロを、フィアットに対しルクセンブルクに3,000万ユーロを納税することを命じた。マクドナルドがルクセンブルクで租税回避したとする案件についても現在捜査中。

 EUでの租税回避については、国際NGOオックスファムが問題提起を続けてきた。今年11月、オックスファムは報告書「Blacklist or whitewash?」を発表し、EU域外35カ国をタックスヘイブン・ブラックリストとして特定しることを求め、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、マルタの4ヶ国についてはEU基準に達していないとしていた。

 イケアは本件について、欧州委員会とオランダ当局との間の話であり、同社としてはオランダの税ルールに基づき適切に納税を行なってきたとコメントしている。

【参照ページ】State aid: Commission opens in-depth investigation into the Netherlands' tax treatment of Inter IKEA
【参照ページ】New Commission probe hits home on EU tax havens’ flat-pack tax deals

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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