【日本】金融庁と法務省、有報と会社法事業報告の一体的開示向け対応内容を公表 2018/01/09 最新ニュース

 経済産業省は12月28日、「未来投資戦略2017」に基づき、金融庁、法務省、内閣官房と共同で、有価証券報告書と事業報告等の一体的開示促進に向けた今後の取組をまとめた。企業側にとっての業務負担を軽減するとともに、投資家側にとっての利便性向上を狙う。2017年6月29日に閣議決定された「未来投資戦略2017」では、2019年前半を目途に効率的な企業情報開示を実現するとしている。

 日本では、金融商品取引法(金融庁所管)に基づく有価証券報告書と、会社法(法務省所管)に基づき定時株主総会招集通知に際し作成が求められる事業報告及び計算書類(事業報告等)の二本立ての開示が求められている。海外では、情報開示は一本化されていることが多いが、日本では双方の記載事項や雛形に相違が見られると解されており、企業側には大きな負担となっている。今回の発表では、政府として省庁横断で開示の整理を行った。

 今回、有価証券報告書と事業報告等に関する整理が行われたのは、大きく15項目。

有報「主要な経営指標等の推移」/事業報告「直前三事業年度の財産及び損益の状況」

 「1株当たり当期純利益金額」と「1株当たり当期純利益」の項目名は後者に一本化してもよい。「純資産額」と「純資産」及び「総資産額」と「総資産」の項目名は、いずれに一本化してもよい。それぞれ各雛形を改訂し明確化する。

有報「事業の内容」・「主要な事業内容」

 有価証券報告書の「事業の内容」について、記載内容が同様または重複する他の箇所にまとめて記載した上で、その箇所を参照するよう記載してもよい(こちらはすでに開示ガイドライン5-14と24-10で明確にしているが、周知させる)。

 有価証券報告書の「事業の内容」を、事業系統図以外の図や表等の形式により、企業の実態に応じて投資家に対してより分かりやすく示してもよい。この点を明確化する法令解釈の公表を行う。

有報「関係会社の状況」/事業報告「重要な親会社及び子会社の状況」

 双方を有価証券報告書の雛形に従い、共通の記載をしてもよい。この点を明確化するため雛形を改訂する。

有報「従業員の状況」/事業報告「使用人の状況」

 「従業員の状況」と「使用人の状況」の項目を、「従業員」という用語を用いて共通の記載が可能であることを明確化する法令解釈の公表を行う。記載対象は、連結会社について記載してもよいとする法令解釈の公表を行う。

有報「経営上の重要な契約等」/事業報告「事業の譲渡」

 事業譲渡等について業務執行を決定する機関を決定したとき、有価証券報告書の組織再編成契約に関する開示の場合と同様に、当該事業の譲渡等の内容を事業報告でも記載しなければならない。有価証券報告書の記載と事業報告の内容との間に違いを生じないようにする法令解釈を明確化する。

有報「主要な設備の状況」/事業報告「主要な営業所及び工場」

 記載範囲に関し、有価証券報告書は「提出会社+国内子会社+在外子会社」、事業報告は「企業集団(提出会社+国内子会社)」となっているが、共通の記載をしてもよい。また、有価証券報告書の「主要な設備」と事業報告の「主要な営業所及び工場」は双方が重なる範囲について共通の記載をしてもよい。それぞれ法令解釈や雛形改訂で明確化する。

有報「大株主の状況」/事業報告「上位十名の株主に関する事項」

 株式の所有割合について、有価証券報告書では自己株式数を控除せずに算定、事業報告では発行済株式総数から自己株式数を控除して算定と相違があるが、事業報告の算定方式に一本化する法令改正を行う。また、株主の確定に関し、事業年度末日に代え、議決権行使基準日の株式保有数の割合が高い株主で確定してもよいとする法令改正を行う。

有報「ストックオプション制度の内容」/事業報告「新株予約権等に関する事項」

 有価証券報告書の「新株予約権等の状況」と「ライツプランの内容」、「ストックオプション制度の内容」の項目を統合し、かつストックオプションについては、財務諸表注記へ集約してもよいとする法令改正を行い、重複を避ける。

 有価証券報告書の会社役員保有新株予約権等に関する事項の基準時点について、事業年度末から提出日の前月末までの間に変更がない場合には、その旨を記載することにより提出日の前月末の記載を省略してもよいとする法令改正を行い、記載を簡略化する。

 ストックオプションを保有している役員の区分について、事業報告上の区分方法に一本化して記載してもよい。この点を明確化するため雛形を改訂する。

有報「役員の状況」/事業報告の会社役員の「地位及び担当」並びに「重要な兼職の状況」

 有価証券報告書の「役名」と事業報告の「地位」は共通の内容を記載してよい。有価証券報告書の「職名」又は「略歴」に、事業報告の「担当」の内容を記載してもよい。有価証券報告書の「略歴」に、事業報告の「重要な兼職の状況」の内容を記載してもよい。兼業の範囲については、双方で共通の記載をしてもよい。いずれも明確化する法令解釈の公表を行う。

有報「社外役員等と提出会社との利害関係」/事業報告「社外役員の重要な兼職に関する事項」

 有価証券報告書の「人的関係、資本的関係又は取引関係その他の利害関係」と事業報告における提出会社と「当該他の法人等」との「関係」は、共通の内容を記載してもよい。この点を明確化するための法令解釈の公表を行う。

有報「社外取締役の選任に代わる体制及び理由」/事業報告「社外取締役を置くことが相当でない理由」

 有価証券報告書の「社外取締役を選任していない場合には、その旨及びそれに代わる社内体制及び当該社内体制を採用する理由」と事業報告の「社外取締役を置くことが相当でない理由」は、共通の内容を記載してもよい。この点を明確化するための法令解釈の公表を行う。

有報「役員の報酬等」/事業報告「会社役員の報酬等」

 取締役及び監査役の報酬総額に関し、有価証券報告書は社外取締役及び社外監査役の報酬を除外、事業報告は含めるとなっており、相違があるが、事業報告でも、有価証券報告書の記載を基礎とし、社外取締役の報酬総額と社外監査役の報酬総額を分けて記載することで、共通の記載をしてもよい。この点を明確化するための法令解釈の公表を行う。

有報「監査公認会計士等に対する報酬の内容」/事業報告「各会計監査人の報酬等の額」及び「株式会社及びその子会社が支払うべき金銭その他の財産上の利益の合計額」

 報酬の開示区分に関し、有価証券報告書は「提出会社」及び「連結子会社」の別に「監査証明業務」及び「非監査業務」の報酬額を記載、事業報告は「当該事業年度に係る各会計監査人の報酬等の額」及び「当該株式会社の会計監査人である公認会計士又は監査法人に当該株式会社及びその子会社が支払うべき金銭その他の財産上の利益の合計額」を記載と、相違があるが、事業報告についても、有価証券報告書の様式に従って、株式会社及び連結子会社の別に、監査証明業務及び非監査業務それぞれに区分して報酬額を記載してもよい。この点を明確化するための法令解釈の公表を行う。

財務諸表及び計算書類の表示科目

 有価証券報告書は「商品及び製品」を記載、事業報告では「商品」、「製品」、「半製品」を記載と、相違があるが、事業報告でも有価証券報告書と共通の区分で記載してもよい。この点を明確化するための法令解釈の公表を行う。

財務諸表及び計算書類の1株当たり情報に関する注記

 有価証券報告書の「1株当たり当期純利益金額」と事業報告の「1株当たり当期純利益」は、後者に一本化して記載してもよい。この点を明確化するための雛形改訂を行う。




 いずれの整理も、2018年3月31日以降に終了する会計年度での報告に間に合うように対応を進める。また、それ以外の情報開示の環境整備についても、2018年夏までに結論をまとめる。加えて、一体的開示の企業実務への浸透を図るため、関係省庁、投資家、企業が一堂に会する場を2018年初めに設ける。

【参照ページ】「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について」を取りまとめました

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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