フランスでの燃料費増に反対する民衆暴動「黄色いベスト運動」が、11月17日から12月8日まで4週連続で土曜日に発生。仏マクロン大統領は対応に苦慮している。
事の発端は、フランスでは2007年から導入されているガソリン及びディーゼルに課せられるエネルギー消費税(TICPE)の増額。特に前オランド政権時代の2012年、二酸化炭素排出量の削減政策の一環として、エネルギー消費税を2015年から2020年にかけ大幅に増額することを立法により定めた。計画では、エネルギー消費税のうち、炭素税に該当する税額を、二酸化炭素排出量1トン当たり2014年の7ユーロから、2017年に30.5ユーロ、2030年に100ユーロまで高めることとなっている。
一方、計画が決定した2015年から昨年頃までは原油価格の低迷により、エネルギー消費税の増額を市民が認識することが薄かった。しかし、ここ最近の原油価格の上昇と、毎年のエネルギー消費額の増加が合わさり、来年のガソリン・ディーゼル価格高騰の見込みが報じられると、市民の中でエネルギー消費税に対する反発意識が沸騰した。
結果、11月17日にフランスで大規模な抗議運動が発生し、フランス全土で30万人以上が参加。都市部ではバリケードを建設し道路を封鎖する辞退にもつながった。翌週土曜日でも、全土で約10万人が抗議運動を展開。パリでは前週よりも破壊行為が進み、街頭での火を用いたアクションも生まれた。封じ込まえるため、警察は催涙ガスや高圧放水砲を用いて応戦する事態ともなった。
3週目となった12月1日は、組織的な活動にも発展。ナント・アトランティック空港、ニース・コートダジュール空港等が封鎖される事態にもなり、高速道路の料金所でも暴徒襲撃が発生した。4週目の12月8日にも、抗議行動が起こり、巻き込まれを恐れて、ルーヴル美術館やエッフェル塔、オペラ座等の観光名所も事前に営業中止が告げられた。
これに対し、マクロン大統領は12月10日、テレビ演説を実施。低所得者層にエネルギー消費税が重くのしかかることに対応し、最低賃金の引上げを表明。2018年に税引き前で月1,498ユーロ、税引き後で1,185ユーロに設定されている最低賃金を、2019年は税引き後で月額100ユーロ増額すると表明。加えて、2019年には、残業代やボーナスを非課税にするとした。また、2018年1月から増税した社会保障税も、毎月の年金額が2,000ユーロ未満の受給者に対しては増税を撤回した。しかし、エネルギー消費税の減税は拒否。大統領就任後に、富裕層の海外出国を懸念して廃止した富裕税についても、復活を拒否した。
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