IT世界大手米アマゾンは3月11日、アマゾン・マーケットプレイスで商品販売する事業者に対して課してきた「価格パリティ規定」を撤廃すると発表した。英紙フィナンシャル・タイムズが3月12日、報じた。価格パリティ規定は、他の販売チャンネルでの販売価格以下の価格で販売することを義務付けるもので、「最恵国待遇(MFN)条項」とも呼ばれている。巨大グローバル企業のMFN条項については、競争法上の問題があり、米国では選挙での政策争点にもなってきている。
アマゾンは、古くは自社が仕入れいた商品を販売する自前チャネルから事業をスタートさせたが、昨今は、第三者に対して販売・流通プラットフォームを提供する「マーケットプレイス」事業が大きく伸長してきている。マーケットプレイス事業は、アマゾンにとって在庫コストや仕入れコストを負担しなくてよく、効率よく手数料を稼ぐことができる。一方、アマゾンのマーケットプレイス事業が急拡大できた成功の背景には、MFN条項の存在があったという声もあり、MFN条項の撤廃で同事業の成長速度は鈍化するという見方もある。
しかしながら、米国では、次期大統領選挙候補者から、アマゾン、グーグル、フェイスブック等の強大な市場ポジションを前に、競争法上の理由から解体を迫る考えも出てきている。不公正と思われる事業慣行から脱却し、批判の声に対応することは、アマゾンが現在の事業を続ける上で死活問題となってきている。
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