米オピオイド系医薬品大手パーデュー・ファーマは9月15日、同社のオピオイド系の麻薬性鎮痛剤「オキシコンチン」に関する訴訟について、24州の検事総長、米領5地域の当局責任者、広域係属訴訟(MDL)原告執行委員会、MDL共同主任弁護士と和解で暫定合意したと発表した。和解金は推定100億米ドル(約1.08兆円)。同時に同社は、米連邦破産法11条の適用をニューヨーク州連邦裁判所に申請した。
【参考】【アメリカ】オピオイド製薬大手パーデュー・ファーマ、連邦倒産法第11章申請を検討か。オピオイド汚染問題(2019年3月9日)
和解では複数の点で合意に至った。
- パーデュー・ファーマは、すべての資産を、原告及び米国民の利益のために設立された信託またはその他の事業体に提供する
- 事業承継する新会社の取締役は、原告に選出され、破産裁判所に承認された新たな取締役が務める
- 新会社は、まだ顕在化していないオピオイドの過剰摂取者に対し、無料または低価格でナルメフェンやナロキソン等を用いた薬物依存治療を施す
- 新会社は、オピオイドの販売およびマーケティングに関する制限を含む、差止命令に永久に拘束されることに同意する
- パーデュー・ファーマの賠償金に加え、創業一族であるサックラー家は現金30億米ドルを寄付し、米国外からの収益を元に更なる補償を行う
パーデュー・ファーマは、フェンタニル等の強力な合成オピオイドの過剰投与を無効にする可能性のある治療薬「塩酸ナルメフェン」で、米食品医薬品局(FDA)のファスト・トラック指定を受けている。ファスト・トラックとは、必要性の高い新薬の審査を優先的に行う制度。同社は、新会社に継承された後も、市販(OTC)のナロキソン点鼻薬の開発を継続し、全米の地域に無料または低価格で提供する方針。同薬品がオピオイド依存者へ行き届くことが最優先事項として期待される。
【参照ページ】Purdue Pharma Announces Agreement in Principle on Landmark Opioid Litigation Settlement
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