英シンクタンクは4月23日、小売企業に対し、食品廃棄物及び食品ロスからのスコープ3二酸化炭素排出量の算出、開示を求めるレポートを発表した。投資家に対しても投資先の小売企業に対し、食品廃棄物及び食品ロスの状況を報告させ、二酸化炭素排出量やコストを削減するプレッシャーをかけるよう促した。
今回のレポートを発表したのは、英ロンドンに本部を置くプラネット・トラッカー。同団体は、マーク・カンパナーレ氏とニック・ロビン氏が2018年5月に創設。両氏は、2009年にカーボン・トラッカーを創設し、2011年には気候変動対策を進めると化石燃料の資産価値がなくなる「座礁資産」という概念を打ち立てたことで知られる。2017年には漁業マネジメントを対象としたフィッシュ・トラッカーも創設。3団体とも、機関投資家に対して環境ファクターがもとらす投融資リスクの提唱を得意としており、世界的に影響力が大きい。
同レポートは、国連食糧農業機関(FAO)によると全人口の消費カロリーのうち24%が食品ロス(可食部の食品廃棄物)で失われていると指摘。世界資源研究所(WRI)の試算でも、EU加盟国での食品廃棄物及び食品ロスの年間コストは1,430億ユーロにも上り、そのうち51%が卸売・小売と消費で発生しているという。
今回のレポートでは、各ステークホルダーにアクションを要求した。まず小売企業に対しては、2021年度の年次報告から食品廃棄物及び食品ロスの発生重量を、2022年度までにそれに伴うスコープ3排出量を、2023年度までにグループ会社ごとのスコープ3排出量と削減目標を発表するよう要求。報告ガイドライン策定機関に対しては、2022年までに食品廃棄物と食品ロスの分析フレームワークを確立するよう求めた。
機関投資家に向けては、投資先の小売企業に対し、食品廃棄物及び食品ロスの発生重量とスコープ3排出量の開示を求めるよう要求。欧州委員会に対しては、食品廃棄物及び食品ロスの情報開示を要求するEU指令の制定を求めた。
同レポートでは、欧州の小売企業の投資運用額の大きい機関投資家として、ブラックロック、バンガード、ノルウェー銀行インベストメント・マネジメント部(NBIM)、シュローダー、ステート・ストリートを挙げ、小売企業に対するマネジメントを強化することで、投資パフォーマンスを挙げられると強調した。
【参照ページ】Investors at risk as top European food retailers fail to disclose food waste-based Scope 3 emissions, says Planet Tracker
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