サステナビリティ推進NGOの持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は6月11日、同団体としての2050年までのビジョンの改定作業「Vision 2050 Refresh」の一環で、システム・トランスフォーメーション(構造的な変革)の必要性のあり方をまとめた提言レポートを発表した。
Vision 2050は、WBCSDが2010年に提唱した2050年に向けたビジョンで、90億人が地球の持続的に提供できる資源の中で健康的に暮らすための道筋を描いている。Vision 2050の提唱から10年が経った今年、WBCSDは同ビジョンの刷新に向けて動いており、今回のレポートは、刷新のための暫定的なアウトプットとなる。
同報告書では、様々な専門家の意見や調査結果を元に、包摂的で持続可能なビジネス成長のためのシステム・トランスフォーメーションの実現についてまとめられている。
Vision 2050の実現は、これまでのビジネスのやり方や、これまでのやり方を土台に変化を加えるだけの方法では不可能。電力や食料の供給方法、商品・サービスの消費習慣、生活スタイルや、移動手段等における根本的な変化が必要となっている。
システム・トランスフォーメーションという言葉自体は、持続可能な開発の実現に必要なものとして、昨今取り上げられることが増えているものの、その解釈や適用のされ方にはばらつきがある。単なる話し合いから、実際に変革を生むアクションへと発展させていくためには、システム・トランスフォーメーションの解釈を明確化し共有することが不可欠とし、今回のレポートが発表された。
同報告書内では、システム・トランスフォーメーションの説明から企業の役割までをまとめた。
- システム・トランスフォーメーションとは何か
- システム・トランスフォーメーションはどのように起こせるのか
- システム・トランスフォーメーションにとっての障壁は何か
- システム・トランスフォーメーションをどのように加速できるか
- システム・トランスフォーメーションにおける企業の役割は何か
システム・トランスフォーメーションについては、ニーズとして「メガトレンド」、シーズとして「イノベーション」があり、それらを結びつける「イネーブラー」として、「マインドセット・規範・価値観」「政策と規制」「情報フロー」「資金フロー」「テクノロジー」の5つを位置づけた。
WBCSDは今後も、Vision 2050の改定議論の中で出てきている様々な論点をまとめた情報を発表していく予定。「2020年から2030年を形作るマクロトレンドとディスラプションの分析」、「今後10年間の新型コロナウイルス・パンデミックの影響の調査」については既に公開されている。また、新型コロナウイルス・パンデミックにより生み出された社会経済的な混乱を、持続可能な開発を実現しながら、企業がいかに切り抜けるのかについては、近日中に情報を提供する予定。
【参考】【国際】WBCSD、2030年までのメガトレンドと潜在的なディスラプション提示(2020年5月25日)
【参照ページ】WBCSD releases exploration into systems transformation in support of inclusive and sustainable growth for business
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