米ジョー・バイデン大統領は9月17日、「エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム」を開催。EU欧州委員会と共同で、2030年までに2020年比でメタンを30%以上削減することを約束する「グローバル・メタン・プレッジ」を発表した。すでに世界9カ国・地域が加盟。今後、他の国にも参加を呼びかけ、11月の第26回気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)の場で正式に発足させる。
グローバル・メタン・プレッジに署名したのは、米国、EU、英国、イタリア、メキシコ、アルゼンチン、インドネシア、イラク、ガーナ。9ヶ国・地域で、世界のメタン排出量の20%以上を占める。
メタンは強力な温室効果ガスであり、気候変動に関する政府間パネルの最新報告書によると、産業革命前からの世界平均気温の1.0℃の上昇の約半分を占めている。排出源は、農業(40%)、エネルギー(35%)、廃棄物(20%)の3つのセクター。そのため、今回のグローバル・メタン・プレッジでは、高排出源に焦点を当て、メタン排出量を定量化するために利用可能な最善のインベントリ手法を策定・使用することを約束した。2030年までに目標とするメタン削減の可能性が最も高いのはエネルギーセクター等ことも言及し、エネルギーセクターが最初のターゲットとなる。また9ヶ国・地域は、国際的な協力行動も約束した。
米国やEUは、すでにエネルギー、農業、廃棄物の全てアクションを始めている。米国では、バイデン大統領就任日の大統領で、環境保護庁(EPA)に対し、石油・ガスでの漏洩メタンの削減、廃棄物埋立地の汚染基準強化を指示。運輸省は、パイプラインでのメタン漏出削減の措置も実施している。農務省でも、米国の農家や牧場主に対し、糞尿管理システムの改善、嫌気性消化器、家畜用飼料、堆肥化等の導入に補助金をつけている。
EUでも、1996年に採択された欧州委員会戦略で、埋立廃棄物からのメタン排出は約半減。また欧州グリーンディール政策で、エネルギー、農業、廃棄物をカバーする全ての主要部門のメタン削減戦略も採択した。欧州委員会は今年、メタン排出量の測定・報告・検証(MRV)、ベントやフレアリングの制限、漏出の検知と修理の義務化等に関する立法手続きを始める予定。 農業でも、「カーボンファーミング」の普及と共通農業政策戦略計画を通じて、緩和技術の導入を加速させるとともに、農業廃棄物や残渣からのバイオメタン生産を促進している。
【参照ページ】Joint EU-US Press Release on the Global Methane Pledge
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