【国際】マークス&スペンサー、スコープ3含む2040年カーボンニュートラル宣言。プランA改訂

　英小売大手マークス&スペンサーは9月28日、同社サステナビリティ戦略「プランA」を改訂し、2040年までにスコープ3を含むバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル（二酸化炭素ネット排出量ゼロ）目標を掲げた。中間目標では、英政府目標より10年前倒し、2025年までにスコープ3排出量を2017年比33%削減する。

　同社は、2007年に「プランA」を発表し、サステナビリティ先進企業として取り組みを進めてきた。2012年には、主要小売企業として初のスコープ1、スコープ2でのカーボンニュートラルも達成した。

　また同社は、同社のスコープ3排出量の97%は、サプライチェーン上で発生しており、ネットゼロ達成にはサプライヤーや消費者、従業員等幅広いステークホルダーの協働が必要だと説明した。

　サプライヤー向けには9月、同社スティーブ・ロウCEOが英国ノースウェールズのサプライヤーを訪問。スコープ3排出量削減に向け協力を求めた。同社はすでに、2025年までにパーム油と大豆調達での森林破壊ゼロにコミットしている他、低炭素農業を行う農家との5年間のプログラムも実施している。

　また同社は、食品・消費財大手や小売大手が加盟する国際的な業界団体コンシューマー・グッズ・フォーラム（CGF）や英小売業界団体ブリティッシュ・リテール・コンソーシアム、英サーキュラーエコノミー推進NGOのWRAPのイニシアチブ「Courtauld Commitment 2030」、「Textiles 2030」、全国農業者組合（NFU）等と協働。Race to Zeroの対象イニシアチブ「Business Ambition for 1.5℃」にも加盟した。

　消費者向けには、エンゲージメントプログラムを発足。同社の会員サービス「Sparks」加入の顧客は、アパレル商品取り扱いのある同社小売店で、使用済みの衣類を国際NGOオックスファムへ寄付することで、無料で菓子を受け取ることができる。

　また、低炭素生活促進NGO「Reboot the Future」と協働し、消費者との対話を実施。9月の同社スティーブ・ロウCEOのサプライヤー訪問時に、消費者とのコミュニケーションを実現した。加えて、同社のESGアクションが伝わるよう、製品ラベル上で説明。まずは気候変動対策アクションに焦点を当て、今後動物福祉やコミュニティへのインパクト等も掲載する。

　同社の調査によると、英国の家庭での気候変動への懸念は上昇傾向にある。回答者5,000名のうち64%が気候変動を最大の懸念事項として挙げており、3ヵ月前比で3%上昇していると分析。気候変動対策の強化とアクションの明示の必要性を強調した。

　従業員向けには、イニシアチブ3つを展開。購買・調達・オペレーションでのネットゼロ加速で重要な役割を担う従業員100任を「Carbon Champions」として表彰した。また、二酸化炭素関連のリスクや機会の理解を深める教育プログラムも開発。世界中の社員の意識向上のため、従業員のアイデアをシェアできるオンラインツールもリリースする。

　さらに同社は1月、取締役会のESG小委員会を設置。プランA推進や人権・倫理配慮の取引、コミュニティ、人々、健康、動物福祉等へのアクションを監督する。加えて、スコープ3排出量の進捗透明性向上のため、新たなデータプラットフォームや技術への投資を強化する。

【参照ページ】M&S RESETS PLAN A WITH PLEDGE TO CUT ITS CARBON FOOTPRINT BY A THIRD BY 2025 AS PART OF ITS COMMITMENT TO BE FULLY NET ZERO BY 2040

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所