金融庁は4月8日、2021年8月に公表された第4次FATF対日相互審査の結果等を踏まえ、2022年3月末時点の金融庁の認識をまとめた報告書「マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題」を公表した。
【参考】【日本】FATF第4次対日相互審査報告書、日本のマネロン対策を酷評。政府は「対策政策会議」設置(2021年8月31日)
同報告書の中で、金融庁は、業態共通で見られる全体傾向として、実質的な対策が遅れていることを指摘した。具体的には、「包括的かつ具体的なリスクの特定・評価の実施や、態勢高度化に向けた行動計画の検討に時間を要し、実際の取組に遅れが見られる金融機関等も存在している。例えば、ガイドラインやFAQで求められている対応が、金融機関等のマニュアル・手引書を含む規程等に反映されておらず、組織的・継続的に取り組むこととなっていないなど、リスクベースでの態勢整備が十分でない先も見られる」とした。
他にも、「他方、リスク評価書、顧客受入方針といった規程類の作成、顧客のリスク評価の実施、取引モニタリング・フィルタリングシステムの導入といった基本的な事項について、整備を行っている金融機関等においても、実際に検査やヒアリング等を通じて実態を確認すると、リスクの特定・評価に関する手順が文書化されておらず、組織内の承認を経て規程化されていない等、態勢整備が十分でない事例が見られるなど、今一段の対応が求められる」とも指摘した。
同報告書では、各金融セクター毎の状況も詳述している。但し、全体的には、マネーロンダリング対策の根本原則となっている「リスクベース・アプローチ」に関し、リスクベース・アプローチの土台となるリスクの特定・評価に関する手順が整備されていないことが大きな課題として取り上げられている。
金融庁は3月30日、「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」を一部改訂。継続的な顧客管理に関する金融庁の考え方を明確にしている。
【参照ページ】「マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題」(2022年3月)の公表について
【参照ページ】「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」の改訂版公表について
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