コンサルティング大手アクセンチュアと米航空宇宙工業会(AIA) は4月19日、航空業界の2050年カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)達成に向け、米国における持続可能な航空技術を分析したレポートを発表した。
同レポートは、「技術報告」「実現可能性評価」「政策ロードマップ」の3部構成。技術別のデータと分析に基づき、脱炭素ソリューションの優先順位付けを行った。
まず同レポートでは、世界の旅客数は今後20年間で倍増し、このままでは燃料消費と二酸化炭素増加すると警鐘。カーボンオフセットの使用を最小限に留め、空港運営とインフラを劇的に変革する必要があると指摘した。
ソリューションの優先順位付けでは、二酸化炭素排出量の削減可能性、技術成熟度、時間軸で評価。時間軸は、2030年までに市場投入可能な技術、2030年から2040年までに市場投入可能性のある計画段階の中期技術、2040年以降市場投入可能性のある主に研究開発段階の長期技術の3つに分類した。
2030年までに市場投入可能な技術では、航空機複合材料構造や飛行甲板最適化ソフトウェアに注目。2040年までの中期技術では、リージョナルジェットにおけるハイブリッド型での電化促進、リージョナルジェット及びナローボディ機における遷音速トラス・ウイング型旅客機(TTBW)の開発、層流制御技術の適用、先進複合材料やワイドボディ機向けギヤードターボファンエンジンの開発等を挙げた。
2040年以降では、リージョナルジェットやナローボディ機の水素駆動、リージョナルでの完全電動化、ワイドボディ機での混合翼機(BWB)やTTBWの登場を期待。100%再生可能エネルギーの電力とグリーン水素のみがライフサイクル全体でのカーボンニュートラルに寄与するとし、水素推進の実現には、研究開発やインフラ整備への莫大な投資が必要と分析した。
また、同レポートでは、技術発展において政府が重要な役割を果たすとし、政策ロードマップも策定。官民の連携での資金調達と結びついた戦略的な計画策定、業界スタンダード策定のための国際機関との協働、安全性を最優先としつつ迅速な新技術の投入等を組み込んだ。
今回のレポートは、航空機とエンジンのプラットフォーム技術を主眼としたが、航空業界のカーボンニュートラル達成には、持続可能な航空燃料(SAF)や水素、蓄電池等のエネルギー供給面も並行して脱炭素化を進めることが必須とも強調した。
【参照ページ】HORIZON 2050: NEW REPORT FROM AIA, ACCENTURE DETAILS STRATEGIC PLAN FOR THE FUTURE OF SUSTAINABLE AVIATION
【参照ページ】New Report from AIA, Accenture Details Strategic Plan for the Future of Sustainable Aviation
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