米テキサス州グレン・ヘガー財務長官は8月24日、エネルギー関連企業への投融資をボイコットしていると判断した金融機関10社を発表した。10社は州政府の年金基金等のファンドの投資引揚げ(ダイベストメント)対象となる。
テキサス州は、石油・ガス産業が集積する地域で、州政府は伝統的にエネルギー産業を推進してきている。一方、気候変動緩和のために金融機関は、エネルギー大手に対し圧力を強めており、エネルギー関連企業への投融資も縮小するところが出ていた。これに対しテキサス州政府は、州内産業を恣意的に衰退させていると反発を強めていた。
今回テキサス州政府は、業種分類GICS及びBICSを基に、金融持株会社、運用会社、銀行、証券会社等でスクリーニング。そこから、MSCI ESGレーティングで気候変動スコアを確認した上で、Climate Action 100+(CA100+)及びNet Zero Banking Alliance(NZBA)、Net Zero Asset Managers(NZAM)への加盟状況をチェックした。これにより、気候変動ダイベストメントに積極的な10社を特定した。
特定された企業は、ブラックロック、BNPパリバ、クレディ・スイス、ダンスケ銀行、ジュピター・ファンド・マネジメント、ノルデア銀行、シュローダー、スベンスカ・ハンデルスバンケン、スウェドバンク、UBSの10社。また、他にもファンド単位で350以上が指定された。
州政府機関は、リスト発表から30日以内に、州財務長官に対し、対象企業やファンドへの投資比率を通知する義務を負う。さらに2023年1月5日までにダイベストメントを完了した報告書を州議会議長及び州司法長官に提出する義務も負う。対象となる州政府所管ファンドは、テキサス州職員退職年金基金、テキサス州教職員退職年金基金、テキサス州市町村退職年金基金、テキサス郡・地区退職年金基金、テキサス緊急サービス退職年金基金、恒久学校基金。根拠法は州法809。
財務長官室は、同リストは四半期ごとに変更される可能性があるとも発表した。
今回ヘガー財務長官は、「テキサス州が将来のエネルギー需要を満たすためには、多様なエネルギーポートフォリオが必要であり、活気あるテキサスの石油・ガス産業は、今日の経済・地政学的環境における安定した力となっている」と表明。「私が最も懸念しているのは、ワシントンD.C.やウォール街の環境保護活動家たちによって作られた完全な脱化石燃料が可能という誤ったシナリオであり、実際には、化石燃料は予見できる将来にわたって私たちの日常生活の一部となり続ける。化石燃料業界からの完全な撤退は、非現実的で非論理的であるだけでなく、テキサス州と市民の経済的幸福に逆行するもの」と述べた。他方、「ESG運動全体を見直すのではなく、エネルギー企業のボイコットに焦点を当てた」とも表現した。
【参照ページ】Texas Comptroller Glenn Hegar Announces List of Financial Companies that Boycott Energy Companies
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