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【アメリカ】America is All In、全米のゼロ・カーボンビル(ZEB)化提唱。幅広いメリット

 米国の企業、自治体、機関投資家、大学、NGO等1,700機関以上が加盟する超党派イニシアチブ「America is All In」は9月23日、不動産のゼロ・カーボン・ビルディング(ZEB)化のメリットをまとめた報告書を発行した。

【参考】【アメリカ】企業・投資家・地方政府等1700機関以上、America is All In発足。2050年カーボンニュートラルで結束(2021年2月26日)

 America is All Inは、米国の二酸化炭素排出量を2030年年までに2005年比で50%減、2050年までのカーボンニュートラルを目標として掲げている。実際にAmerica is All Inの後押しを受け、バイデン政権は同4月、米国が2030年の目標として2005年比で50%から52%減を公式に発表している。

 米国では二酸化炭素排出量の30%以上を建設・不動産部門が占める。また、建設や解体から発生する廃棄物は、重量で米国の固形廃棄物の25%から45%を占め、公衆衛生や生態系に悪影響を及ぼしていることが多いという。

 今回の報告書は、連邦政府でインフラ投資・雇用法とインフレ抑制法が成立したことに呼応したもの。住宅、オフィス、店舗、公共施設等あらゆる不動産にとって排出量削減を進める絶好の機会とした。

 メリットとしては、まず、化石燃料消費を抑制することによる室内空気の質の改善。また、光熱費の削減と質の高い雇用の創出。今後10年間で、電気ヒートポンプ式暖房設備と給湯器、改良型ブレーカーボックス、IHコンロの4つの主要機器を一般家庭に設置することで、45万人以上の設置作業と80万人の雇用創出し、中央値は国の標準賃金より高い賃金となる可能性があるとした。

 また、屋根への太陽光発電パネルの設置等の先行投資が経済的に難しい家庭に対しては、近隣の再生可能エネルギープロジェクトに参加し、電気料金の減税措置を受け取る機会を提供するコミュニティ・ソーラー・インストール等の手法が有効とした。機器リースや低金利ローンを提供する企業も出てきており、金融インクルージョンと組み合わせることの重要性も指摘した。

 さらにガスから電化へと家庭でのシフトに関しても、設備切替ができない低所得者層は、最後までガスインフラのメンテナンスコストを支え続けなければならなくなると危惧し、地方政府はガスネットワークの拡大への補助金を廃止しながら、財源をガス需要家から費用徴収から一般税へとシフトする等の公共料金の再設計を提唱した。

 削減効果の最大化では、まず集合住宅は断熱効果や土地利用の最小化が図れるとの観点から、宅地の高密度設計を推奨。まちづくりとしても、コンパクトシティを進めることでコミュニティ機能を効率化できる。また、太陽光発電パネル、バッテリー、ビークル・ツー・グリッド(V2G)充電等の分散型発電技術の活用も盛り込んだ。さらに、空間利用の柔軟性を確保し、不動産全体の寿命の拡大と、建築廃材を再利用するライフサイクルアプローチ、一般的な材料サイズを使用して改造を容易にするモジュール設計、将来的に解体できるように建物設計といったサーキュラーエコノミー化も掲げた。屋上緑化や植樹、緑地へのアクセス等の自然を活用した冷房効果も挙げた。

 さらに、低炭素不動産の需要を喚起するため、州、都市、先住民族、企業、大学、NGO等は、低炭素製品基準や「バイ・クリーン」イニシアチブを採用することを促した。

【参照ページ】IMPROVING THE AMERICAN INDOORS: THE HEALTH, ECONOMIC, AND COMMUNITY BENEFITS OF ZERO-CARBON BUILDINGS

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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