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【マレーシア】副首相、EUの森林デューデリ規制強化に反発。「EUへのパーム油輸出停止も」

 マレーシアのファディラ副首相兼プランテーション・コモディティ相は1月12日、マレーシア・パーム油ボード(MPOB)が主催した「パーム油経済レビュー・展望セミナー2023」の中で、EUが「企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令」や「サプライチェーンの森林破壊・森林劣化フリー規則」の制定を進める動きに反発。報復措置として、EUへのパーム油輸出の停止を検討する可能性があると説明した。

 EUの「企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令」や「サプライチェーンの森林破壊・森林劣化フリー規則」の原案では、森林破壊を伴って生産されたパーム油をEU域内に輸入することや、EU域内で販売することを禁止する方針を掲げている。

【参考】【EU】欧州委員会、環境・人権デューデリジェンス指令案発表。非EU大企業も対象。立法審議へ(2022年2月25日)
【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、環境・人権デューデリ規則制定で政治的合意。今後、立法プロセスへ(2022年12月7日)

 これに対し、ファディラ副首相は、海外からの専門家を招いてでも、EUの政策に対抗する必要があると強調。これ以上難癖をつけるのであれば、欧州への輸出をやめて、他の国への輸出に注力するという道もあると語った。マレーシアは2019年にも、当時のマハティール首相が、EUの規制強化を批判する声明を発表していた。

【参考】【マレーシア】マハティール首相、EUのパーム油環境規制強化を批判。離脱の英国に貿易促進要請(2019年8月22日)

 マレーシアは、インドネシアと合わせて、世界のパーム油生産量の80%以上を占める。今回、ファディラ副首相は、1月末に予定されているインドネシアへ訪問で、インドネシアも反発の仲間に引き入れる予定ともコメントした。すでに、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相とインドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、EUによるパーム油「差別」に対抗するために協力することで合意したという。マレーシアのパーム油輸出量のうち欧州向けは、9%を占め、第3位。

 ファディラ副首相は今回、マレーシア持続可能なパーム油(MSPO)や持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)の認証などの国際基準を遵守していることも強調。EUは認証を尊重すべきと説明。不公正な貿易制限に関しては、世界貿易機関(WTO)に提訴する考えもみせた。インドネシアとマレーシアの両政府は、国内の独自認証として、マレーシア持続可能なパーム油(MSPO)とインドネシア持続可能なパーム油認証(ISPO)を策定し、運営しているが、MSPOとISPOがEUの新規制でどのように扱われるかが焦点となる。

 RSPOは2022年11月にマレーシアで開催された年次総会の中で、RSPOの認証面積は、2008年には3カ国で12万5000haだったが、現在は21カ国で450万haにまで拡大。世界のパーム油生産量の約20%をカバーし、RSPO認証取得によって保護された面積は約30万haとなった。RSPO下での農園や工場での労働者は推定50万人。但し、パーム油の60%以上が消費されている新興国市場では、RSPO認証製品はほとんど流通しておらず、インドでは3%、中国では8%程度にすぎない。

【参照ページ】PRESS RELEASE: RSPO CERTIFICATION GROWS FROM THREE COUNTRIES IN 2008 TO 21 IN 2021

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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