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【マレーシア】マハティール首相、EUのパーム油環境規制強化を批判。離脱の英国に貿易促進要請

 マレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相は8月19日、EUから離脱予定の英国政府に対し、同国の主要産業パーム油に対する昨今のサステナビリティ要求に対し、契約停止ではなく、教育的な視点で同国のパーム油生産企業と接するよう要求した。米金融情報配信ブルームバーグ上で、自ら記事を発信した。

 今回の要求の背景には、EUが2017年からパーム油由来のバイオ燃料を段階的に廃止し、最終的に禁止することを欧州議会で承認する等、森林伐採への影響を背景にパーム油生産を取り締まってきたことがある。マレーシアやインドネシア等のパーム油生産国は、世界貿易機関(WTO)にも提訴する考えを今回示した。欧州との貿易紛争は避けたいとまで言及した。

【参考】【EU】欧州議会、植物油のバイオ燃料利用廃止やパーム油単一認証制度創設を要請する決議案を採択

 マハティール首相は、EUが南アメリカとのパーム油の貿易締結をしている点を指摘し、パーム油規制は欧州の一部国家の農業保護のために行っているのではないかと分析。EU諸国によるパーム油規制は、同地域の食肉による二酸化炭素排出の責任の、東南アジアのパーム油生産者への転嫁であり、旧宗主国による旧植民地へのいじめだと揶揄した。その一方で、EU離脱が迫る英国は、従来のEUのパーム油規制に捉われることなく、貿易が可能となると言及。近年同国との貿易額が増加傾向にある東南アジア諸国と、パーム油貿易を行うことで歴史的な経済成長を遂げる可能性を示唆した。

 しかし、マハティール首相の主張は、必ずしも実際のEUの姿勢にそぐわない点もある。例えば、マハティール氏は、パーム油の禁止は森林伐採の歯止めにはならず、むしろ土地利用の大きい菜種、大豆、ひまわりの需要を促進してしまうと主張している。ところが、パーム油に関するEUの方針は、土地利用の大きい植物への代替を必ずしも促すものではない。例えば、欧州委員会は2月、土地利用の大きい燃料を用いたバイオマス発電やバイオ燃料は、再生可能エネルギーと見なさない内容を最終決定した。「間接的土地利用変化(ILUC)」リスクの高いバイオ燃料は徐々に排除され、最終的にゼロにしなければならない。また、同法が施行されることで、森林破壊を伴っていないことを保証する認証取得等の義務も生じる。

【参考】【EU】欧州委、森林破壊を伴うバイオ発電燃料を「再エネ」とは認めない方針。委託法令案公表
【参考】【EU】欧州委、再エネ指令に基づくバイオマス燃料認定基準を最終決定。森林破壊を伴うもの排除

 さらに、森林伐採を背景にパーム油を規制する動きはEU特有のものではなく、国際NGOのCDPも国際社会に向けて働きかけを行っている。CDPは、同コラムで「欧州が二酸化炭素を排出の責任を転嫁している」とされる牛肉を含む、大豆、木材・パルプ等を対象としている。

【国際】CDP、森林破壊リスク分析レポート発表。アクション不十分。日本企業2社にも名指しで回答要請

 パーム油に関する規制の方針は、東南アジアを中心とした生産国の経済に影響を与えるため、今後も同地域との継続的な対話が必要が求められる。

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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