欧州委員会は7月31日、EU企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に基づく、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)を定めた委託法令を採択した。今後2ヶ月間、EU理事会と欧州議会の異議申立て入り、異議がなければ自動的に成立する。異議申立期間は、欧州議会もしくはEU理事会の決議により、2ヶ月間延長することができる。
【参考】【EU】欧州委、ESRS原案を発表。要件を大幅緩和。PRI等の機関投資家団体は反発(2023年7月13日)
今回の決定により、EU非財務情報開示指令(NFRD)の適用を受ける従業員500人以上の上場企業、銀行、保険会社は、2024年度の報告を2025年に発行する際からESRSに基づく報告が義務化。その他の大企業は、2025年度の報告を2026年に発行する際からESRSに基づく報告が義務化される。
EU非加盟の上場中小企業を含む上場中小企業は、2026年度の報告を2027年に発行する際からESRSに基づく報告が義務化される。但し、上場中小企業は、さらに2年間報告義務を免除することもできる。
また、EU域内で年間1億5,000万ユーロを超える売上を上げ、EU域内に4,000万ユーロを超える売上の支店もしくは子会社を持つEU域外企業は、2028年度の報告を2029年に発行する際からESRSに基づく報告が義務化される。報告はEU域内の支店や子会社レベルではなく、グループ全体について報告しなければならない。
今回の発行を受け、欧州委員会、EUの金融報告フレームワーク検討機関European Financial Reporting Advisory Group(EFRAG)、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は同日、この後、気候変動に関する情報開示で相互運用ガイダンスを共同発行する予定とした。加えて、相互運用性をさらに促進する手段として、開示のデジタルタグ付けも検討する。
またEFRAGは同日、ESRSの完成を歓迎する声明を発表した。同時に、ESRSの実施ガイダンス、中小企業向けESRS、セクター向けESRS、ISSBスタンダードとESRSの相互運用性に関するガイダンス、その他の関連する国際基準とのESRSの相互運用性の調整の作業を進めることも明らかにした。
EFRAGのサステナビリティ報告審議会(SRB)は8月23日に、マテリアリティ評価(MAIG)及びバリューチェーン(VCIG)に関するEFRAG実施ガイダンス及びFAQの第1草案に関する最新報告を受ける予定。また、ESRSとその他の主要な基準設定イニシアチブとの相互運用性に関する最新情報も受け取る予定。
【参照ページ】Questions and Answers on the Adoption of European Sustainability Reporting Standards
【参照ページ】European Commission, EFRAG and ISSB confirm high degree of climate-disclosure alignment
【参照ページ】EFRAG WELCOMES THE ADOPTION OF THE DELEGATED ACT ON THE FIRST SET OF EUROPEAN SUSTAINABILITY REPORTING STANDARDS (ESRS) BY THE EUROPEAN COMMISSION
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