
英エネルギーデータ大手ブルームバーグNEF(BNEF)は2月6日、「長期カーボンオフセット見通し2024」を発行。カーボンクレジット市場は、各企業のカーボンニュートラル目標達成年が近づくに連れ急上昇し、2050年には1t当たり238米ドル(約35,000円)に達すると見立てた。
同調査では、将来のカーボンクレジット価格について、将来の市場構造と需要に応じた3つのシナリオを開設している。「高品質シナリオ」では、オフセット市場におけるインテグリティの問題が解決され、価格が高くても需要が続く「弾力性の低い」状況になると想定した。「ボランタリー市場シナリオ」では、インテグリティの問題は解決されず、企業の需要は弾力性が高くなる。「除去シナリオ」では、企業は除去プロジェクトからのカーボンクレジットしか購入できなくなり、供給が大幅に減少し需給がタイトになるシナリオ。
(出所)BNEF
高品質シナリオでは、価格は初期には低く、2030年には1t当たり20米ドル程度だが、ネットゼロ目標のマイルストーン年が近づくにつれて急速に上昇し始め、2050年には同238ドルに達する見込み。この時点で市場は年間1兆1,000億米ドル規模となる
ボランタリー市場シナリオでは、2030年に同13米ドル程度、2050年でも14米ドル程度にしかならない。但し、低品質のクレジットが蔓延している状況で、ウォッシュとの批判も噴出している状況となる。市場規模は年間340億米ドルにとどまる。
除去シナリオでは、価格は2030年に同146米ドル、2050年には同172米ドルに達する。市場規模は、2050年に年間8,840億米ドルに到達する。
カーボンクレジット市場では、信頼性が大きな課題となっており、今回BNEFは、Integrity Council on Voluntary Carbon Markets(ICVCM)等のイニシアチブや、米商品先物取引委員会(FTC)等の規制当局による新ガイダンスが重要になるとの見方を示した。この場合、カーボンクレジットは、純粋に他の削減手段とのコスト比較で検討されるようになり、購入が進むと見通した。
【参照ページ】Carbon Credits Face Biggest Test Yet, Could Reach $238/Ton in 2050, According to BloombergNEF Report
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく
ログインする
※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら