
風力発電国際業界団体の世界風力会議(GWEC)は6月17日、洋上風力発電市場の2024年年次報告書を発表した。今後10年間で新規設備容量が410GWになると予測した。
洋上風力発電の2023年の新規設備容量は10.8GW。前年比では新規設備容量が24%伸長し、21.1GWだった2021年に次いで、過去2番目の増加率となった。国別では、新規設備容量が中国が6年連続で首位。2023年には6.3GWで、全体の58.4%を占める。続いて、オランダが17.8%、英国7.7%、台湾6.4%、フランス3.3%、デンマーク3.2%、ドイツ2.4%、日本0.6%、ノルウェー0.3%、韓国0.02%の順。
設備容量は75.2GW。国別では、中国50.3%、英国19.6%、ドイツ11.1%、オランダ6.3%、デンマーク3.5%、ベルギー3%、台湾3%、ベトナム1.2%、フランス1.1%、スウェーデン0.3%の順。
中国の洋上風力市場は、2022年に発電価格が市場平均に並ぶ「グリッド・パリティ」時代に入っている。中国では2022年に新規設備容量が前年比70%減となり、市場が低迷。2023年も、市況の過熱を抑制するため中国政府が介入し、2023年も横ばいとなった。それでも世界1位をキープしている。
浮体式洋上風力発電では、ノルウェーでは、94.6MWのHywind Tampen風力発電所が全機設置を完了し、世界最大の浮体式風力発電所となった。2023年末現在、世界全体で合計236MWの浮体式風力発電が設置されており、ノルウェーが101MW、英国が78MW、ポルトガルが25MW、中国が23MW、日本が5MW、フランスが2MW、スペインが2MW。
今後の予測では、2033年には新規設備容量が66.2GWになると見立てた。そのうち中国が20GW、欧州が28.2GW、その他アジア太平洋が10.5GW、北米が6GW、その他が0.15GW。平均市場成長率(CAGR)は2028年までが25%、2029年から2033年が15%とした。同報告書は、プロジェクトが当初計画から大きく遅延が発生していることを考慮し、プロジェクト側の発表値ではなく現実的なラインで予測した。
浮体式洋上風力発電では、2033年に新規設備容量が8.3GWになると予測。内訳は英国1.5GW、中国と韓国1.0GW、ポルトガルが750MW、米国、イタリア、スペイン、アイルランド、ノルウェー、フランスが500MW、台湾が300MW、日本が200MW。
一方、洋上風力発電では課題も多い。同報告書は、「洋上風力発電のための世界的成長枠組み」を提示し、資金、需要、産業界のオフテイク、サプライチェーン開発、許認可、社会的合意、労働力開発、送電網インフラ整備等での対処が必要とした。仮に実施されなければ、予測される成長がリスクにさらされるという。
【参照ページ】Strong 2023 offshore wind growth as industry sets course for record-breaking decade
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