Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の97%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【日本】日本新聞協会、検索型生成AIでの記事無断利用を「著作権侵害」。規制強化も政府に要請

 日本新聞協会は7月17日、生成AI事業者に対し、ウェブ上に存在している新聞社や通信社の記事を無断で利用する行為を、著作権侵害に該当する可能性が高いとする声明を発表した。各社からの許諾を取るよう求め、政府に対しても著作権法をはじめとする知的財産諸法の強化を要請した。

【参考】【国際】世界新聞・ニュース出版社協会等、「グローバルAI原則」発表。日本新聞協会も署名(2023年9月10日)

 今回の声明では、まず、グーグルやマイクロソフト等が提供する検索連動型の生成AIサービスに対し、著作権侵害に該当する事例が多いと指摘。理由として、著作権法第47条5の「軽微利用」規定を挙げ、検索サービスが他人の著作物を許諾なしに利用する場合には、「検索対象の情報の所在提供(URLの表示など)等に付随した利用であること」「検索目的に照らして必要な限度内で、かつ、軽微な範囲の利用にとどまっていること」「著作権者の利益を不当に害していない」の全てを満たすことが必須なのに対し、検索連動型生成AIサービスでは、これらが遵守されていないとした。

 より具体的には、従来の検索サービスでは、ネット上のさまざまな著作物への「道案内」の役割を担うものとして、著作権法では軽微な範囲で他人の著作物を無許諾利用することが認められてきたが、検索連動型の生成AIサービスでは、「道案内」ではなく、内容までを掲載する「種明かし」であり、それが生成AIの力で量産されていると述べた。ネット上の報道機関のニュースには無料記事もあるが、閲覧に応じた広告収入や、ニュースポータルからの収入があり、検索連動型の生成AIサービスは、参照元のウェブサイトを訪れない「ゼロクリックサーチ」が増え、報道機関に著しい不利益が生じることは容易に推測できるとした。

 日本新聞協会は、報道コンテンツは、新聞社や通信社が多大な労力とコストをかけて作成した知的財産であり、報道各社が著作権等の法的権利を有すると強調。報道コンテンツを利用するのであれば、利用者が報道各社から許諾を得て、対価を支払うのが原則とした。報道機関の努力へのタダ乗り(フリーライド)は許容されるべきではないとした。

 次に、現行の著作権法でも違法性が認められる現状の検索連動型生成AIサービスを明確に取り締まれるようにするため、政府に対し、著作権法をはじめとする知的財産諸法の見直し・整備を早急に行うよう求めた。

 文化庁が3月にまとめた「AIと著作権に関する考え方」では、無許諾での検索連動型の生成AIサービスに対して厳しい見方を示したうえで、情報解析用のデータベースを販売、または販売を予定している報道機関等のサイトから、生成AI事業者が無断で記事等を複製する場合は著作権侵害に当たる可能性があるとの判断を示している。だが、解釈に曖昧な部分(グレーゾーン)が残っており、現行の著作権法では不十分との考えを示した。

 同協会は、報道コンテンツの著作権を保護する社会的意義として、「コンテンツの再生産がやせ細れば、民主主義の基盤や、国民の文化に取り返しのつかない不利益をもたらすことにな」ると述べた。さらに、プラットフォーマーが優越的地位にある場合には、競争法上の懸念もあるとした。

 3つ目には、誤情報の懸念を挙げた。報道機関のニュースコンテンツについては、「誤りが無いよう社内で何重ものチェックを行い、相応のコストをかけて読者に届けてい」るが、検索連動型の生成AIサービスには、事実とは異なる内容や、歪曲した内容を表示する事例もあると表明。誤った回答は訂正されることもなく、社会に不利益が及ぶことを懸念した。

 今回の声明では、米国では5月末に、北米の新聞社等で構成するニュース/メディア連合(NMA)が、司法省や米連邦取引委員会に対し、一部の事業者が新聞社や出版社の記事を不正に活用し、トラフィックを奪っていることについてサービス拡大の停止を求めるよう要請していることにも言及した。

【参照ページ】生成AIにおける報道コンテンツの無断利用等に関する声明

author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。