
コンサルティング世界大手英デロイトは8月、米企業経営陣100人を対象とした責任あるAIの調査報告書を発表。責任あるAIを実践することでイノベーションを促進するとの声が大多数を占めたことがわかった。
同社は、責任あるAIに関する調査研究プログラム「Technology Trust Ethics(TTE)」を実施しており、今回の調査もその一環。同調査では、外部の調査会社を活用し、売上1億米ドル未満から100億米ドル以上まで幅広い米国企業100社の経営陣から回答を得た。
今回の調査では、経営陣の77%は、AIの導入について自組織が責任あるAIを理解して行うことができる状況にあると回答。但し、上級管理職や部門長による意思決定が必要との企業が大半で、実務者自身が責任あるAIの意思決定を行うことができると答えた企業は24%にとどまった。また、その比率は、売上によって異なり、売上10億米ドル以上の企業では、52%の企業が実務者自身が意思決定できると回答したのに対し、売上10億米ドル未満の企業では3%のみだった。
責任あるAIのガバナンス体制では、取締役レベル向けのトレーニングの実施企業が63%だったのに対し、従業員向けのトレーニング実施企業は76%だった。責任あるAIのレビュー委員会の設置企業は46%、責任あるAIのリスクマネジメント・フレームワーク策定企業は44%、責任あるAIコンプライアンス基準の策定は24%だった。
責任あるAIの適用状況では、導入フェーズが最も多く76%。設計開発フェーズは69%、導入後運用フェーズが53%、開発前フェーズが49%だった。
AI開発・導入での優先事項では、「イノベーションと規制のバランス」が62%で最多。次いで「データ収集・利用の透明性確保」が59%、「ユーザーデータのプライバシー懸念への対応」が56%、「企業システムでの運用性確保」が55%、「アルゴリズム等でのバイアス緩和」が52%だった。
責任あるAIを導入することでイノベーションを促進できるとの回答では、売上10億米ドル以上の企業で「強く同意」が40%、「同意」が52%。売上10億米ドル未満の企業でも「強く同意」が16%、「同意」が71%で、「どちらとも言えない」「同意しない」を圧倒的に上回った。
人材確保では、社内トレーニングやアップスキルが最多で68%。次が外部採用で、従来型のキャリア採用が62%、スキルベースの採用や非大卒者の採用が53%だった。
AI導入の事業メリットでは、サステナビリティ調達目標の達成が最多で77%。次いで、組織のレピューテーションが75%、売上増とダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)、コミュニティ・エンゲージメントの3つが73%でタイ、生産性向上が70%、他のサステナビリティ目標達成が68%だった。
【参照ページ】Leading workforce decisions on ethical AI
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