
アパレル業界サステナビリティNGOグローバル・ファッション・アジェンダ(GFA)は9月4日、サーキュラーエコノミー実現に向けたアパレル業界におけるリバース・ロジスティクス(廃棄物回収物流)の強化方法で提言報告書を発表した。
同報告書は、アパレル業界における効果的なリバースロジスティクスを実施するための方法に関して概説したもの。GFAのインサイトパートナーであるマースクと、NIKE、H&M、ターゲット、プーマ、エレン・マッカーサー財団、VFコーポレーション、サークル・エコノミー財団の8組織が共同制作した。
GFAと国連環境計画(UNEP)が実施した調査では、45%のブランドが2040年までに収益の最低10%をサーキュラー型のビジネスモデルから得る目標を設定済み。しかし、アパレル業界はサーキュラーエコノミー実現に関する包括的なシステムが欠けており、断片的なアプローチでは商業的に実現できないと指摘した。
また、PwCの調査によると、世界では520を超えるサーキュラーエコノミーに関する規制があるという。EU欧州委員会は2023年7月、アパレル製品の全ライフサイクルについて拡大生産者責任(ERP)制度を導入するEU規則案を発表。2025年からアパレル製品の分別回収義務も課す考えを示している。
【参考】【EU】欧州委、農林業・アパレルで新たな立法へ。土壌モニタリングやアパレル製品分別回収(2023年7月17日)
同報告書では、アパレルブランド、小売業者、バリューチェーンのパートナー、物流プロバイダーの指針となるよう効果的なリバース・ロジスティクスの方法に関して概説。消費者からの素材や製品の回収フローを管理、再販、リメイク、リサイクルするためのシステムを構築することで、ライフサイクルの延長、価値の最大化、廃棄物の最小化を実現できるとした。
具体的には、
- ネットワークの設計:消費者からの返品だけではなく、産業廃棄物、売れ残り商品の回収、価値化にまで拡大し検討を行う。経営陣を含む社内、様々なステークホルダーと連携したシステムを構築し、厳密なテストとイノベーションへの投資を行う。
- 財務的オーナーシップ:明確な財務モデルを確立し、役割、責任、利益配分を明確にした上で、協力と投資の強化を行う。業界全体での議論とフレームワーク開発の必要性を訴えた。
- 回収量の増加:廃棄物等の効率的な回収と処理のためのインフラ整備。回収しやすいプログラムやインセンティブの設計、消費者の意識向上への取り組み、リサイクルに関する技術向上のためのロードマップと投資等を挙げた。
【参照ページ】Accelerating Circular Fashion: Global Brands and Organisations Inform New Research on Reverse Logistics
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