
金融庁は10月10日、財務会計基準機構のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)の「サステナビリティ開示基準の適用」「一般開示基準」「気候関連開示基準」の導入に関し、スコープ3排出量の算定で取引先提供のデータに誤りが事後的に発覚しても、虚偽記載等の責任を負わせない指針を示した。
今回開催された金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」では、虚偽記載等による責任を免除する「セーフハーバー」に関する方向性を検討。すでに現行ガイドラインでも、開示書類に記載すべき重要な事項のうちの将来情報が実際と乖離することとなった場合でも、一般的に合理的と考えられる範囲で具体的な説明が記載されている場合には、虚偽記載等の責任を負わないとの解釈が示されていたが、スコープ3については明確になっていなかった。
今回の指針では、セーフハーバーを適用する上で必要となる開示について、「将来情報の入手経路、見積り等の適切性を検討し、評価するための社内の手続」を記載した上で、「将来情報、統制の及ばない第三者から提供を受けた情報、見積りを含む記載箇所を特定した上で、当該情報を含む旨」「データ・プロバイダーから入手した情報を含む記載箇所を特定した上で、当該情報を含む旨、当該プロバイダーの名称」「実際と乖離が生ずる可能性がある旨とその要因」「現行のガイドラインで示されている内容(当該情報を記載するに当たり前提とされた事実、仮定及び推論過程)」の4つを明らかにすることも重要との見解を示した。
また今回、サステナビリティ開示基準の適用初年度における経過的措置を設け「二段階開示」を実施することについても具体案を示した。IFRS財団の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、報告初年度は、財務諸表報告後、半期報告に併せてサステナビリティ報告を行う「二段階開示」を許容している。今回、二段階開示については、半期報告書を用いる方法ではなく、半年後に有価証券報告書の訂正で発表する手法の方が適切だろうとした。また、訂正報告書の時期については、半期報告書の提出期限までに行うこととすることが適当とした。
サステナビリティ開示の保証については、各企業規模に応じた開示義務化の翌年度から保証制度を適用していく考えを示した。具体的には、時価総額3兆円以上の企業は、2027年3月期開示から開示基準を義務化し、2028年3月期から保証制度を導入。時価総額1兆円以上の企業は、2028年3月期開示から開示基準を義務化し、2029年3月期から保証制度を導入。時価総額5.000億円以上の企業は、2029年3月期開示から開示基準を義務化し、2030年3月期から保証制度を導入。将来的には適用範囲をプライム上場全企業へと広げていく。但し、保証制度の開始時には、スコープ1と2の排出量のみを保証制度とし、一定期間経過した後に保証の対象範囲を広げる。それ以外の保証制度の内容についは継続検討課題となっている。
【参照ページ】金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(第4回)議事次第
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