
国際商業会議所(ICC)は11月11日、国連気候変動枠組条約第29回バクー締約国会議(COP29)に先駆け、「異常気象の経済コスト」報告書を公表した。気候変動の急性的物理的リスクがもたらす経済コストの大きさを示した。
同報告書では、洪水、旱魃、熱波、暴風雨異常気象によって引き起こされた直接的な物理的資産の破壊と、早死による人的資本損失の双方を推計。2014年から2023年までの10年間で世界全体で約4,000件の気候災害を合計すると、経済損失は2023年の価格で2兆米ドル(約300兆円)と強調した。
同報告書は、1980年から1999年の間に記録された気候災害は、2000年から2019年の間に83%も増加しており、世界中の脆弱な地域や社会経済的集団に不釣り合いな影響を与え、すでに不利な立場に置かれている人々の既存の課題をさらに深刻にしていると伝えた。
また、同推計は、間接的なコストを含めていないため、経済コストは遥かに大きくなる可能性があるという。気候災害は、既存の社会経済的不平等を拡大し、脆弱なコミュニティが悲惨な結果を経験することが多くなるとし、公的資金が災害支援、復旧、復興対策に振り向けられるため、政府財政に大きな負担となり、複数のセクターに連鎖的な影響を及ぼすとも説明した。間接的なコストには、公共インフラへの継続的なコスト、農業やサプライチェー ンの混乱、移住の圧力、社会的不平等の悪化や、ウェルビーイングの衰退等がある。
気候変動に脆弱な人口は、アジア・オセアニア地域に集中しており、地域人口に占める脆弱人口比は、アジアで87%、オセアニアで63%、北米で44%、アフリカで42%、中東・北アフリカで39%、中南米で33%、欧州・中央アジアで31%。すでに、2014年から2023年までの10年間で、約16億人が気候災害によって直接的な影響を受けており、人的・経済的コストの大きさを浮き彫りにしたとした。
【参照ページ】New report: extreme weather events cost economy $2 trillion over the last decade
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく
ログインする
※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら