
国際エネルギー機関(IEA)は11月13日、エネルギーセクター全体の雇用統計をまとめた報告書を発表した。同報告書は2022年に開始し、今回が3回目。
【参考】【国際】IEA、エネルギー部門雇用統計発表。クリーンエネルギー雇用が化石燃料を追い抜く(2023年11月28日)
同発表は、世界のエネルギーセクターの雇用統計を、地域、エネルギー、技術、バリューチェーン毎に分析したもの。世界のエネルギー部門は、2023年に3.8%増加し250万人の雇用を創出した。経済全体の雇用者は2.2%増であり、全体平均より高い結果となった。2024年のエネルギーセクターの雇用は3%増加する見込み。
最も雇用が増えたセクターは、クリーンエネルギー部門の雇用であり、2023年には150万人増加。太陽光発電セクターでは、記録的な新規設備の追加を背景に50万人以上の新規雇用が創出された。電気自動車(EV)製造とバッテリーの雇用は41万人増加。一部の風力発電メーカーではレイオフが発生したものの、風力発電セクター全体の雇用は増加した。
石油ガスセクターでは、2023年に60万人以上の雇用が増加。世界の石炭セクターの雇用は、上流部門の生産性の改善により3年連続で約1%減少した。
雇用増加の要因として、2019年から2022年までは、建設や設備設置等が新規雇用の半分以上を占めてきたが、2023年は製造業が雇用増加を牽引。クリーンエネルギー関連の製造業への投資が70%増の2,000億米ドル(約31兆円)に達したこと等から雇用者数が大幅に増加したと分析した。
エネルギーセクターの雇用の課題は、特に送電網や原子力等の高度な専門性が求められる領域での熟練労働者の不足だと指摘。27カ国190社以上のエネルギーセクターを対象にしたIEAの調査では、2年連続で回答者の大半が熟練者不足に苦労していると回答した。
中国以外の新興国及び発展途上国の労働力は、世界全体の60%を占める。一方で、クリーンエネルギー関連の雇用の増加分の4分の1しかない。労働コストの低さという優位性だけでは、クリーンエネルギー投資の誘致に結びつかず、必要なケーパビリティの獲得やクリーンエネルギー関連の製造インフラ等が重要だとした。
同報告書では、熟練労働者を含む雇用を確保するため、クリーンエネルギー職種に移行するためのスキルアップ研修等にインセンティブを設ける等の政策は有効だと報告。新興国と発展途上国では、非正規雇用が占める割合が高いため、その規模縮小に関する政策パッケージの必要性も訴えた。
【参照ページ】World Energy Employment 2024
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