
環境に関する金融リスクを検討するための中央銀行・金融当局ネットワーク「環境リスクに係る金融当局ネットワーク(NGFS)」は11月14日、国連気候変動枠組条約第29回バクー締約国会議(COP29)に合わせ、中央銀行と金融監督当局にとっての気候変動適応の重要性を指摘する「適応に関する概念ノート」と、金融システムのグリーン化に関する「統合報告書」の2つの文書を発表した。
最初の「適応に関する概念ノートは」、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)で発表された「新興市場および開発途上経済国(EMDEs)における気候緩和と適応のための混合型金融の拡大に関するNGFS技術文書」に基づくもの。従来から指摘されてきた気候変動緩和だけでなく、気候適応適応の重要性を強調した。
同文書では、気候変動適応が金融の安定にとって、ますます重要になっていると認識した上で、適応をリスクマネジメント実務の主流とし、適応資金を拡大することを重要視した。また、適応資金、保険保護のギャップ、適応の失敗が金融セクターにもたらすプルーデンスリスクの間の複雑な相互連関と関係についても考察している。附属書では、6カ国のケーススタディを掲載し、当局が個別に、あるいは他の公共部門や民間部門のグループと協力して、すでに取っている具体的なアクションも紹介した。
さらに、同文書では、特に検討が必要な分野として4つを特定した。今後NGFSで検討を深めていく考え。
- 適応のより良い測定と開示のための測定基準とツールの役割
- 政策、監督、規制の枠組を強化する必要性の検討
- 適応資金調達のための環境整備
- 国際レベルでの協力と、地域的な配慮に重点を置いた行動
一方、金融システムのグリーン化に関する報告書では、気候ファイナンスの現状について最新の見解を示した。具体的には、NGFS、国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)、世界銀行、気候政策イニシアチブ(CPI)、世界自然保護基金(WWF)等のレポート等を俯瞰し、重要なデータ、戦略インサイト、進捗状況を総合的にまとめている。
特に、同報告書では、パリ目標の達成に向けた金融システムの進捗状況を概観するため「気候変動目標が果たす金融にとっての意味、及びそれらの目標に沿った金融の提供に関する進捗状況についての共通理解の深化」「関連する市場手法と戦略の拡大」「効果的かつ公正なグリーン移行のためのエコシステムを育成し可能にする規制・監督上の枠組みの確立」の3つの主要分野を分析した。
COP29は、「金融COP」と呼ばれるほど、金融に大きな焦点が当たっている。
【参照ページ】For COP29, the NGFS publishes a Conceptual Note on Adaptation and a Synthesis Report on the greening of the financial system”
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