
米ドナルド・トランプ大統領は8月6日、合衆国法典第3編第301条、1962年通商拡大法第232条、1974年通商法第604条に基づき、ポリシリコン及びポリシリコン派生製品の輸入に対する15%の従価関税と最低輸入価格(MIP)制度を発動する大統領令に署名した。東部時間12月4日午前0時1分から適用される。
同大統領令は、商務長官からの報告を基に、ポリシリコンを、米国の半導体及び太陽光発電のサプライチェーンの安全保障を支える基盤となる素材と認識。一方、海外輸入に依存する状況が拡大しており、2020年以降だけでも、世界のポリシリコン生産量は270%以上増加し、2024年末までに在庫量は過去最高の40万tに達したとした。世界のポリシリコン生産能力に占める米国のシェアは2005年の50%から2024年には2%未満に、世界の半導体ウェハー製造能力に占める米国のシェアは1990年の37%から2024年には10%に低下している。また、太陽光発電用インゴット、ウェハー、セルはほぼ全量輸入しているとした。
また、商務長官の報告では、半導体用ポリシリコンは、以前はポリシリコン産業の主要な生産品であったものの、現在、世界の半導体用ポリシリコンは世界のポリシリコン生産量のわずか2.4%を占めるに過ぎないと指摘。半導体用ポリシリコンに比べて太陽光発電用ポリシリコンの需要が圧倒的に多いことにより、ポリシリコンメーカーが、採算の取れる単位生産コストを維持するために必要な生産量を達成するためには、純度の低い太陽光発電用ポリシリコンの生産への依存度を高めざるを得ない状況にあると伝えている。米国の太陽電池用ポリシリコンにとって経済的に持続可能な市場がなければ、米国のポリシリコン生産者は繁栄できず、米国の経済および国家安全保障上の要件を満たす太陽電池用及び半導体用ポリシリコンとその派生製品の国内製造を確保することはできないと結論づけている。
同大統領令では、まず、最低輸入価格について、ポリシリコン1kg当たり21米ドル、ポリシリコンインゴット及びウェーハ1kg当たり100米ドル、太陽電池1W当たり0.22米ドル、太陽電池モジュール1W当たり0.38米ドルと設定。ポリシリコン及びポリシリコン誘導体の輸入事業者は、輸入時の申告時に国税関・国境警備局(CBP)にMIP以上の取引価格を証明する書類の提出が必要となる。最低価格未満の取引については、差額が特定関税として徴収される。さらに商務長官に対し、最低輸入価格を随時調整する権限を付与した。違反した場合には、当該事業者と関連事業者はポリシリコン及びポリシリコン誘導体の米国への輸入が恒久的に禁止される。
次に、ポリシリコンインゴット及びポリシリコン派生製品の輸入には、15%(英国のみ10%)の追加従価関税が課される。但し、日本、韓国、台湾、スイス、リヒテンシュタイン、EU加盟国の製品については、追加関税と米国調和関税率表(HTSUS)の第1欄に定める適用関税率との合計が15%となる。
国内生産奨励策では、商務長官に対し、米国における原料ポリシリコン、インゴット、ウェハー、及びセルの生産への投資を奨励するための優遇プログラムを実施する権限を付与した。認定された事業者は、必要な生産設備及び対象製品に対する1962年通商拡大法第232条に基づく関税が免除される。但し、2029年1月20日までに建設を開始できない案件は認定の対象外。
【参照ページ】Fact Sheet: President Donald J. Trump Bolsters National Security and Strengthens U.S. Supply Chains by Imposing Tariffs on Polysilicon and its Derivatives
【参照ページ】ADJUSTING IMPORTS OF POLYSILICON AND ITS DERIVATIVES INTO THE UNITED STATES
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