
小売世界大手米ウォルマートは7月29日、2026年度のESG報告書を公表。2031年度までにスコープ1と2の温室効果ガス排出量を2025年度比で28%削減する新たな目標を発表した。
同社は、科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)から目標承認を受けており、今回の新目標設定は、SBTiが求める5年毎の目標見直しの一環。同社は2026年度までに2016年度比でスコープ1と2を35%削減する目標を掲げていたが、24.6%の削減にとどまった。但し、同社は2016年時に設定した2℃目標基準に基づく削減率18%は上回ったと強調している。
同社は今回、米国での店舗拡大や事業成長に伴う長距離輸送車両の走行距離増加や、米国とカナダでは暖房需要及び施設内での燃料使用量の増加により、排出量が増加したと説明。さらに今後の削減へのハードルとして、世界のエネルギー政策や特定市場における民間再生可能エネルギープロジェクトの供給制限、低GWP(地球温暖化係数)の冷媒や太陽光発電等の技術の入手可能性とコスト、特に長距離貨物輸送向けの低炭素輸送技術の開発速度等を挙げた。また、低炭素輸送技術は、2030年代になるまで実質的な規模拡大が見込まれていないとも指摘した。
それでも、クリーン電力の確保、冷凍・空調(HVAC)システムの更新、低炭素車両の導入等を進め、2040年までにスコープ1と2をゼロにする目標を堅持すると説明した。現状では、同社の世界全体の電力調達のうち再生可能エネルギー比率は53.3%にまで上昇している。
スコープ3については、2016年に小売事業者として初めてSBTiからの承認を受けたスコープ3目標を設定し、2030年までに製品のバリューチェーン全体で10億tの温室効果ガス排出量を削減、回避、吸収する「プロジェクト・ギガトン」を立ち上げ、2024年2月に同目標を達成。スコープ3の原単位排出量も減少しつつあるが、事業成長等に伴いスコープ3の総量は増加傾向にある。同社は引き続き、SBTiから承認されたスコープ3目標の達成に向け努力を続けるとした。
気候変動適応では、店舗基礎部の引上げによる洪水対策や雨水貯水池の設置、ハリケーンに耐えられる屋根構造への改修、ハリケーン対応規格のガラスや鉄筋コンクリート製の外壁の設置、重要インフラや保管エリアの防水対策、発電機やオンサイト発電を含む非常用電源システムを導入、サプライチェーン分散等を進めていると説明した。生鮮食品については、地元農家との直接取引により「農場から店舗へ」モデルを推進し、輸送時間の短縮と供給途絶リスクの低減も図っている。データとテクノロジー(特定のケースではAIを活用した農業プラットフォームを含む)を活用することで、作物の生育状況を監視し、収量に関する知見も深めている。
自然資本・生態系では、サプライヤー及び助成先を通じ、陸地7,620万エーカーと海域368万平方マイルで、天然資源の持続可能な管理、保護、再生を実施。また、南米の牛肉生産畜産農場の97.3%が、森林破壊および土地転換が行われていないことが検証され、プライベートブランド(PB)コーヒーの99.9%が、持続可能な認証を受けたものとして調達された。
社会面では、従業員のキャリア形成を支援する研修・教育に10億米ドルを投資するという5カ年計画を達成。米国の従業員が国内で需要の高い10万の職種へ早期に就けるよう支援するという目標も達成した。米国では、PB食品から合成着色料と30種類の成分を排除する計画も発表している。
【参照ページ】Walmart Publishes FY2026 ESG Report
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