アップルやサムスンなど、名だたる大手電子機器企業らが加盟する電子業界のサステナビリティ向上イニシアチブ、EICC(Electronic Industry Citizenship Coalition)が、他の業界に先駆けて積極的にサプライチェーンの人権問題に取り組んでいる。EICCは4月8日、2015年の優先課題として位置づけている強制労働の撲滅に向け、同団体の行動規範を改訂、強化すると発表した。
2014年に会員企業に批准され、今年の4月1日より施行されている現行のEICCの改訂第5版行動規範では、強制労働の引き金となりかねない課題に対処するための新たな規定が盛り込まれている。企業は労働者のパスポートや重要書類の保有、移動の自由と基本的人権の不当な侵害を禁止されているほか、労働者に対して出身国の出発前に労働者の母語版で書かれた雇用契約書を提示する必要がある。
また、労働者が就職斡旋業者を介して就職した場合、膨大な斡旋手数料の支払い負担により借金返済から抜け出せず強制労働につながりかねないことから、今回の新たな規範では就職斡旋費用の負担から労働者を保護するための規定も加わった。
具体的には、新しい行動規範では斡旋手数料を支払う労働者側の義務を無くすとともに、もし労働者側からの何らかの支払いが判明した場合、労働者に同額が返金されるよう、明記された。このような明確な言葉を使った規定は、米国の人身売買摘発を強化する大統領命令に従って施行されたFederal Acquisition Regulation(連邦政府調達規則)に準じたものだ。
EICCの事務長を務めるRob Lederer氏は「電子業界は世界のサプライチェーンにおける強制労働撲滅への取り組みにおいて世界を牽引してきた。EICCの行動規範を更に強化し、労働者に課される斡旋費用負担を禁止するための会員企業らの支援は、世界全体でこの問題解決に取り組もうとする電子業界のコミットメントの表れだ」と語った。
同行動規範は最新の国際動向やサプライチェーン課題に対応できるよう3年ごとに更新されるようになっている。今回の改訂では、国連が掲げている「ビジネスと人権に関する指導原則」に基準を合わせることが主たる目標だった。
【参照リリース】Electronics Industry Leads the Way in Combating Forced Labor
【団体サイト】EICC
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