米国の食品業界では、消費者の食の安全に対する懸念に対応するべく大胆な取り組みが進んでいる。メキシカン料理の"Chipotle"ブランドで知られる米ファーストフードチェーン大手のChipotile Mexican Grill社(以下CMG)は4月27日、米国の店舗で提供する全てのメニューから遺伝子組み換え食品(以下、GMOs)を取り除くという目標を達成したと発表した。
さらにCMGは現在、食品添加物を一切含まない新たなトルティーヤのレシピを開発にも取り組んでいるという。これら2つの取り組みは、最高な食材から作られる食事を提供するという同社のコミットメントに基づくものだ。
米国では既にGMOsが一般的となっており、USDA National Agricultural Statistics Serviceの調査によれば、2014年に米国で生産されたコーンの94%、大豆の93%がGMOsだという。その結果、現在米国で消費される80%の食品にはGMOsが含まれており、レストランでの食事や食料品店での買い物の際にGMOsを避けることは非常に難しくなっているのが現状だ。
Chipotleの創業者兼Co-CEOを務めるSteve Ells氏は「GMOsに関しては多くの議論がなされている。多くの国が既にGMOsの制限や禁止に踏み切っているが、我々がGMOsについてより深く理解するためにはさらなる研究が必要なことも明らかだ。議論が続いている最中ではあるが、我々はGMOsを使用しない方向へ移行することを決定した。」と語る。
Chipotleは、2013年5月に米国で初めてメニューに含まれるGMOs関する自主的な情報開示を開始し、同時にすべてのメニューからGMOsを取り除くことを宣言していた。GMOsを使用している企業は多くの場合、揚げ物に使用する油に、遺伝子組み換え大豆から作られる油を使用しているが、Chipotleはそれらをひまわり油へと切り替えた。また、トルティーヤに含まれるその他のGMOsも完全に取り除いた。
GMOsゼロへの移行に関わる問題点としてコストの問題が指摘されてきたが、Chipotleによれば、同社がGMOsからNon-GMOsへ移行する上で明らかなコスト増は見られなかったという。
同社の次なる目標はトルティーヤから生地の状態を保つための添加物を取り除き、添加物を使用しない伝統的な方法によるトルティーヤを作ることだという。米国ではGMOsをはじめとして食の安全に対する意識が高まっており、今回のChipotleの決定も業界全体に大きな影響を及ぼしそうだ。
【プレスリリース】Chipotle Becomes the First National Restaurant Company to Use Only Non-GMO Ingredients
【企業サイト】Chipotile Mexican Grill
(※写真提供:Ken Wolter / Shutterstock.com)
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