人口の35%が安全な水にアクセスできないパキスタンで、革新的なプロジェクトが進んでいる。それは、お金ではなく水を引き出すことができるATMの設置だ。取り組んでいるのはClean Water CompanyとInnovations for Poverty Alleviation Lab(以下、IPAL)で、パキスタンの水アクセス問題を改善するべく、革新的な「水ATM」導入に向けて着々と準備を進めている。太陽光を電力源とし、カードを使って水を引き出すことができる水ATMは世界的に注目されており、アメリカ機械学会の「トップ20プロジェクト」の候補にも選ばれている。
この新たな取り組みにより、水の無駄遣いを抑え、市民が安全な水にアクセスできることが期待されている。第一導入段階では、とりわけ深刻な水汚染問題に直面しているBahawalpur、RajanpurとFaisalabadを含むパンジャーブの農村部・都市部郊外で20所に新設される水ろ過設備の近くで導入され、対象世帯ごとに毎日30リットルの浄水が供給される予定だ。浄水は無償で提供される一方、水ATMと水ろ過設備の整備にかかるコストを地域の全世帯で分担することになる。
IPALでプログラムマネージャーを務めるJawad Abbasi氏は「供給される水の量・質はオンライン上でリアルタイムに確認できることから、政府はいつ、どこで、どれだけの水が提供できているのかを随時確認することができる」と水ATMの行政における役割を語った。さらに、Organisation for Social Welfare(福祉機構)で環境の専門家を務めるNazir Ahmed Wattoo氏は「現在、パキスタンでは節水装置が少ないため、日常生活および農業における水の無駄遣いにつながっている。水の供給を規制し、計量することで、限られた水資源をより有効に管理できる。その一方、パキスタン政府の今後の課題としては、水ATMの有効かつ定期的な整備と監視の継続性が挙げられる」と述べた。
既にインドでは設置が進んでいる水ATM。途上国において安全な水にアクセスできない人々の救世主となるのか、取り組みの成果が期待される。
【参照リリース】Water ATM, The Only Prototype From Pakistan Gets Selected For The ASME IShow!
【団体サイト】IPAL
【団体サイト】Clean Water Company
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