
EUを構成するEU理事会、欧州議会、欧州委員会の3者は11月22日、紛争鉱物を規制するEU法を制定していくことで合意に達した。紛争鉱物の分野では、米国のドッド・フランク法や、OECD(経済協力開発機構)の「紛争鉱物ガイドライン」が有名だが、今回EUとしても紛争鉱物規制を法整備していくことが明らかとなった。今後、EU理事会および欧州議会でのEU法立法手続きに入る。順調に立法化が進めば、2021年1月1日から新規制が開始される。
米国ドッド・フランク法と今回のEU法案の内容には異なる点が多い。まず対象となる鉱物。ドッド・フランク法ではスズ、タンタル、タングステン、金(3TG)の4種のみを対象としているが、EU法案では全ての金属鉱物を対象とする。次に対象となる鉱物の産地。ドッド・フランク法はコンゴ民主共和国とその周辺国のみを対象としているが、EU法は世界全体を対象地域とした。一方、デューデリジェンスを課す対象商品では3TGを含有する商品全てを対象としているが、EU法案は金属鉱物の原材料輸入のみを対象とし、ドッド・フランク法よりも規制が緩い。
このEU法が成立すると、金属鉱物の輸入企業に対し、紛争地域や紛争高リスク地域を産地としてないことを確証するためのデューデリジェンスが義務化される。デューデリジェンスでは、OECDの紛争鉱物ガイドラインを参照しなければならない。詳細の実施ルールや違反行為に対する罰則は、EUの各加盟国レベルで整備されていく。歯科医や宝石商など小規模事業者に対しては、このデューデリジェンス義務が免除される。それでも、EU加盟国が現在行っている金属鉱物の輸入量の95%が、今回の規制対象となるという。
EUの非財務情報開示指令の対象となっている大企業には別のルールも課される。製造業者など3TGを製品原料として購入する企業は、原料調達の実施状況に関する報告をEUに対して提出することが求められる。しかしこのルールの履行は義務ではなく、企業の努力義務とされた。
このEU法の成立2年後には、企業の遵守状況やインパクトを見定めるためレビューを行い、必要であれば追加の規制も検討する。それ以後は3年置きにレビューを行う。
EU法には、直接EU加盟国に対して効力を持つEU規則(Regulation)と、加盟国の国内法整備によって効力を持つEU指令(Directive)の2種類があるが、今回の紛争鉱物規制は前者。紛争鉱物規制が立法手続きを経て成立後、20日後に自動的にEU加盟国域内で発効する。
【参考ページ】The New EU Conflict Minerals Regulation — Is It Something To Be Thankful For?
【参考ページ】EU agrees law to curb flow of conflict minerals
【参考ページ】EU agrees to compulsory checks on conflict mineral imports
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