欧州委員会は8月2日、今年の春から夏に発生しているEU域内の異常旱魃に対応するため、農家支援策をまとめ、発表した。農家の資金繰りを支えるため補助金支給を前倒しするとともに、規制を一時的に緩和し休閑地での飼料栽培を特別に容認する。
欧州では今年に入り、異常旱魃が発生おり、作物や飼料の生産量が大きく低下。畜産業に大きなダメージを与えている。被害が大きい地域は、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマークの北欧地域、ドイツ、フランス、ポーランド、オーストリア、オランダ、ベルギー等の西欧地域、エストニア、ラトビアのバルト海諸国、英国、アイルランド、ウクライナ。今年後半に飼料の増産が見込めないとなると、さらに畜産農家に与える経済的ダメージは大きくなるという。
(出所)EDO
EUでは、旱魃被害の最大80%(一部地域では最大90%)を政府が援助する仕組みがあり、またEU加盟国は欧州委員会に通知することなく一農家当たり最長三年間で15,000ユーロを助成する権限も与えられている。それ以外にも加盟国がEU農村開発プログラムの下で、農家の資金支援を実施できる枠組みもある。しかし今年の異常旱魃では、事後救済だけでなく事前支援が求められるようになってきている。
今回の決定ではまず、10月中旬に農家の直接費用の最大70%及び農村開発プログラム下での費用の最大85%を10月中旬に支給できるようにした。農家の資金繰りを改善することで、早期に飼料購入に踏み切れるようにする。もう一つは、休閑地の活用を規制しているルールを一時的に解除し、休閑地での飼料栽培を容認する措置。畜産農家の飼料生産増を狙う。
欧州委員会は、今後もEU加盟国政府に対し、8月31日までに旱魃インパクトを収集するよう要請している。現在の支援策が不十分と判断されれば、新たな措置を打つ予定。
【参照ページ】Commission offers further support to European farmers dealing with droughts
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