経済産業省資源エネルギー庁は5月26日、燃料油価格の激変緩和措置を6月から段階的に縮減し、9月末に終了すると発表した。ガソリンの市場価格が下がってきていることを理由とした。
同庁は2022年1月、2021年10月以降に欧米を中心とした新型コロナウイルス・パンデミックからの経済回復に伴い急上昇した原油価格に対応するため、激変緩和措置を発表している。当時ガソリン市場価格は170円を突破し、2008年9月以来13年4ヶ月ぶりの高値水準となっていた。激変緩和措置は、レギュラーガソリンの価格が、全国平均で170円を超えると発動し、当該価格が170円を超えた分を、最大5円の範囲内で補填。2022年3月末までを実施期間とし、直接原油元売事業者へ補助金供給し、ガソリンスタンド等への卸売価格等を抑制する手法を開始した。
その後、2022年2月にウクライナ戦争が勃発し、ガソリン市場価格はさらに高騰。全国平均のレギュラーガソリン価格は6月には215.8円をつけた。そのため、ガソリン、経由、灯油、重油に関する補助金が、3月10日からは当該価格が172円を超えた分の最大25円の範囲内に引き上げ。さらに4月28日からは、当該価格が168円を超えた分の最大35円に加え、それ超えた場合には超過分の50%を補助する制度へと引き上げていった。4月28日の改訂からは航空燃料も対象となった。
その結果、全国平均のレギュラーガソリン価格は6月後半に、174.9円が最高値となり減少。11月以降は概ね168円前後で横ばいとなった。政府予算としては、2022年1月27日から同12月末までで3兆1,781億円を費やした。
(出所)資源エネルギー庁
2023年1月からは、補助上限を35円から25円まで毎月2円ずつ引き下げる措置を実施。さらに今回、25円以下の部分は、補助率を2週毎に10%ずつ引き下げ、25円超の部分は、補助率を2週ごとに5%ずつ引き上げる措置を決めた。但し、原油価格が再び高騰した場合には、措置を見直す方針。2023年分の予算では現在、3兆272億円が用意されている。
物価高騰の社会費用対策で、先進国も含め昨年は補助金が増額される傾向にある。一方、化石燃料に対する補助金が近年各国で増加していることについて、国連機関やNGOからは批判の声が上がっている。5月のG7広島サミットのコミュニケでは、「非効率な化石燃料補助金を2025年又はそれ以前に廃止するというコミットメントを再確認し、全ての国々に同様に取り組むよう従前呼びかけたことを再確認する」としており、足元のエネルギー価格高騰対策の補助金は正当化されるとの立場を示していた。
【参照ページ】燃料油価格激変緩和事業について
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