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【アメリカ】G&A 社、業種別のマテリアリティ・トレンドに関する最新の調査結果を発表

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米国のサステナビリティ専門コンサルティング会社Governance & Accountability Institute社(以下、G&A 社)は6月16日、企業のサステナビリティ報告に関する最新の調査結果、「Sustainability - "What Matters?"(何が重要なのか?)」を発表した。

この調査は2012年にGRIガイドラインに準拠して作成・公開された1,246のサステナビリティ報告書の内容を分析し、GRIの定義に沿う35の業種別に、それぞれの業種にとって何が重要なサステナビリティ課題だと認識されているのかを特定するという試みのもと実施されたものだ。

今回同社が実施した調査の分析手法は下記の通り。

  • GRIガイドラインに準拠した1246のサステナビリティ報告書を分析
  • GRIの定義に沿って、35の業種に分類
  • GRIの定める全84指標について、各社の開示状況を調査
  • 35の業種ごとに、各社の開示状況を基にして84の指標の重要性をランキング化
  • 次年度以降はG4に準拠する予定の企業のためにG3、G3.1指標はG4の指標に置換

G&A 社は2011年、2012年にも「Sustainability - Does it Matter?(サステナビリティは重要なのか?)」というタイトルで年次調査レポートを発表しており、同社の会長Hank Borner氏は「我々はこれまでの調査を通じて、企業のサステナビリティは確実に重要だと確信している。S&P500の構成企業のうち、サステナビリティ報告書を発行している企業の割合は2011年には20%だったが、2012年には52%と劇的な成長を見せており、投資家やステークホルダーは、企業のサステナビリティ開示により強い関心を示すようになってきている」と述べる。

また、同社は2014年6月の初めには、2013年度の最新調査の結果、S&P500の構成企業のうちサステナビリティ報告書を発行している企業の割合は72%にまで増加したという速報を発表している。(※参考記事:【アメリカ】S&P500株価指数の構成企業のうち、72%がCSRレポートを発行

しかし、今回の調査のポイントとなったのはサステナビリティそのものの重要性ではなく、数あるサステナビリティ課題の中で何が重要なのか、というマテリアリティ特定の観点だ。

G&Aの共同創業者兼副社長を務めるLouis Coppola氏は「そもそもの問いであった” Sustainability - Does it Matter?(サステナビリティは本当に重要か?)”に対する回答はもはや明らかとなってきており、2013年の調査では”Sustainability - "What Matters?(何が重要なのか?)”という問いに調査の焦点を変更した。今回の最新調査では1,246社に渡る報告書の分析により、35の業種セクターが、それぞれの業種においてGRIが定める84のサステナビリティ指標のうち何が最も重要で、何が最も重要でないと考えているかが分かる」と述べた。

サステナビリティ報告の普及に伴い情報開示に必要なデータ・情報が劇的に増加したことで、報告書の作成者、読者の双方の負担が増加しつつある。サステナビリティ報告書を作成する企業のほとんどが数多くの指標に回答するために膨大なリソースを費やしている一方で、これらの報告書を手に取る投資家や他の読者もそれらの膨大な情報量の中から本当に重要なデータを見つけ出すことに苦労しているのが現状だ。

こうした状況に対し、Louis Coppola氏は「サステナビリティ報告が主流になるにつれ、マテリアリティにより焦点が当たるようになってきた。自社の特性と照らし合わせ、どのようなサステナビリティ課題が自社にとって重要なのかを決定することが、報告により実際のインパクトを生み、サステナブルな事業実績を生み出す上での鍵となる。全てのことを一度にやろうとすると、結局はほとんど何もできずに貴重なリソースの無駄遣いに終わる。今回の調査結果により、企業の経営陣が、同業他社がどのようなサステナビリティ課題を重要だとみなし、自社および投資家やステークホルダーに大きな利益をもたらす新たな機会だと捉えているかをよりはっきりと特定できるようになることを望んでいる」と語る。

もはやサステナビリティ報告をしているだけで差別化できた時代は終わりつつある。幅広いサステナビリティ課題の中から何が自社にとって重要なのかを特定し、マテリアリティに基づく報告、実践ができるかどうかが、新たな差別化ポイントとなりつつあるのだ。しかし、マテリアリティの特定についてはそのプロセスや妥当性も含めて悩みを抱えているCSR担当者が多いのも実情だ。その意味で、業種別にマテリアリティ・トレンドを示してくれている今回のレポートは業界や競合の状況を把握する上でもとても参考になるはずだ。

今回の調査結果の詳細については、無料レポートが下記からダウンロードできる。このレポートでは調査概要に加えて、35の業種ごとに、その業種を代表する企業のCEOらによるコメント抜粋、その業種におけるGRIの6カテゴリ(Society(SO)・Human Rights(HR)・Economic(EC)・Labor Practices and Decent Work(LA)・Environment(EN)・Product Responsibility(PR))ごとの重要性ランキング、84指標のうち上位および下位10指標のランキングなどを見ることができ、サステナビリティ報告書の作成者はもちろん、経営者にとっても非常に示唆に富む内容となっている。興味がある方はぜひ見て頂きたい。

【無料レポートダウンロード(英語)】Sustainability - What Matters?
【企業サイト】Governance & Accountability Institute, Inc.

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