米チョコレート製造大手のザ・ハーシー・カンパニー(以下、ハーシー社)は4月23日、パーム油のサプライチェーンに関する追跡調査の第一次結果を発表した。同社は環境NGOのザ・フォレスト・トラスト(以下、TFT)と協働し、パーム油およびパーム核油を供給する全ての搾油工場のうち94%以上のサプライチェーンを調査した。
パーム油の生産に関してはこれまで、農地の開拓や搾油工場の建設のための森林伐採、またそれにより居住地を奪われた原住民との対立などが問題視されてきた。そこで、同社はサプライヤーから搾油工場に至るまでパーム油の生産過程を辿り、その結果をもとにマッピングを実施した。このようなサプライチェーンの可視化は、パーム油の供給源と森林破壊や社会課題との関連性を把握する上で役に立つ。
搾油工場レベルでのマッピングを終えた同社の次なる目標は農場レベルでのマッピングで、2016年までに完成予定だという。
第一次追跡調査から明らかになった重要なポイントは以下の3点だ。
- 1,200以上の搾油工場が世界中のハーシー社の製造工場にパーム油を供給している。
- 搾油工場は東南アジア(1,235箇所)と中米(11箇所)の2つの地域にある。
- パーム油を使用する製造工場は米国(9箇所)、メキシコ(2箇所)、そして中国(2箇所)の3カ国、13拠点に位置する。
ハーシー社によるパーム油のサプライチェーンに関する追跡調査は、同社が2014年に表明した責任ある原料調達および追跡可能なパーム油に対するコミットメントの一部でもある。このコミットメントの一環として、同社は全サプライヤーに向けてパーム油供給に関する包括的な新方針を定めている。
同社でグローバルコモディティ担当副社長を務めるFrank Day氏は「この初期段階のマッピングは、倫理的なパーム油調達の高い基準を満たす上で欠かせないものだ。我々はこの情報を、サプライヤーと協働して厳格化した新方針および同社のサプライヤー行動規範を満たすために活用していく。もしこの過程を通じて我々のパーム油のサプライチェーン上の問題が明らかになれば、我々はそれらをただちに是正するつもりだ」と語る。
このマッピング作業は、ハーシーが自社の責任ある調達目標を達成するためにパーム油サプライヤーからどの程度の協力を必要とするかを特定する上で役立てられる。同社は今後もTFTと協働して責任ある原材料調達の実現に向けて取り組んでいく。
【参照リリース】Hershey Announces Results of First Phase of Palm Oil Supply Tracing
【企業サイト】The Hershey Company
【団体サイト】The Trust Forest
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