米国、カナダ、メキシコのエネルギー担当大臣らは5月25日、気候変動およびエネルギー政策の調整に向けたワーキンググループの設立およびパートナーシップを締結したと発表した。このパートナーシップは拘束力のある目標はないものの、三国間による気候変動政策のエネルギー政策への一体化に向けた議論を統合し、協調体制を構築するためのものだ。
今後、各国政府は気候変動・エネルギー政策に優先的に取り組み、配電網の効率化や新たなクリーンエネルギー技術の導入、オイルとガスからの温室効果ガス排出規制などに関して協調して取り組んでいく。
今回の同意は、パイプライン建設をめぐる米国とカナダの対立にも影響を及ぼす見込みだ。カナダ政府とオバマ政権は現在進行中のトランスカナダ社によるアルバータ州のオイルサンド地域からテキサス州湾岸までを接続するパイプライン、「キーストーンXL」建設に関する米国の検討状況をめぐって衝突していた。同パイプラインの建設には米国大統領の承認が必要だが、温室効果ガスの排出や建設が環境にもたらす悪影響などが懸念されており、環境保護グループらも激しい反対運動を展開していた。
カナダ政府はオバマ政権が決定を遅らせていると批判しており、一方のオバマ大統領はプロジェクトの有益性について疑問視し、地球温暖化を悪化させるのなら承認しない構えを見せている。また、カナダは繰り返し数年以内にオイル、ガス業界向けの排出規制を導入すると表明してはいるものの、昨年12月にはカナダのStephen Harper首相が、世界的にオイル価格が急落している時期に新たな規制を設定するのはおかしいと述べていた。
しかし、今回の同意の一環として、今後カナダは米国から提案されたメタンガス排出削減規制に関するルールに同調する見込みだ。そして、それはカナダのオイル・ガス関連企業に対する他の規制導入にもつながる可能性がある。
気候変動への一刻も早い取り組みが求められている中、気候変動と密接に関わるエネルギーの問題で国家間が足踏みしていた状況は、今回のパートナーシップ締結により大きく前進することが期待される。
【参考サイト】U.S., Canada and Mexico Create New Climate Change Partnership
(写真提供:Rena Schild / Shutterstock.com)
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