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【スイス】UBS、個人富裕層顧客へのSDGs向け投資商品販売を強化。50億ドル以上を目標 2017/02/01 最新ニュース

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 銀行世界大手スイスのUBSは1月16日、世界経済フォーラム年次総会(通称、ダボス会議)に合わせ、同社の白書「Mobilizing private wealth for public good」を発表。富裕個人層の資産運用である「ウェルス・マネジメント」の分野で、国連持続可能な開発目標(SDGs)に資する金融商品の販売を強化していくことを宣言した。UBSは、富裕個人層専門の資産運用サービスであるプライベートバンク業界での世界大手銀行。同じくスイスの銀行であるクレディ・スイスとともに、スイスの「プライベートバンク・ブランド」を象徴する存在。

 白書では、これまで個人運用資産がSDGsの分野に投じられてこなかったことを挙げ、今後大きな潜在力を持っていると分析した。米シンクタンクのブルッキングス研究所によると、SDGsの分野には年間で5兆から7兆米ドルの資金需要がある。一方、ドイツ銀行の試算によると、2015年の世界の個人資産総額は250兆米ドル(約2.9京円)。富裕層個人資産運用は、比較的長期投資を実施する傾向があり、さらに機関投資家の資産運用に比べ規制や制約が緩いことから、長期投資が必要となるSDGsの分野に非常に適しているという。

 また、富裕層個人側の投資ニーズも変化してきている。UBSが2016年に初期がん研究分野に投資を行う「オンコロジー・インパクト・ファンド」を立ち上げたところ、4.71億米ドル(約540億円)の投資が集まった。SDGsの分野には、上場企業向けの投資ファンド、非上場企業向けのプライベート・エクイティ・ファンド、インフラプロジェクト・ファンドなど非常に多くの金融商品があり、富裕層個人からのこれらへの関心が非常に高まってきている。

 これを受け、UBSは、プライベートバンク顧客向けに、国連持続可能な開発目標(SDGs)に寄与するテーマ投資やインパクト投資を今後5年間で50億米ドル(約5,700億円)以上販売していくことを宣言した。そのうち一部は、歌手U2のボノやヴァージン・グループのリチャード・ブランソン会長が設立した200億円規模のソーシャル・インパクト・ファンド「Rise Fund」に投資していく。「Rise Fund」は、TPG社のプログラムである「TPG Growth」のもとで運用されており、SDGsの異なる分野、異なる時間軸への投資を分散化させ、投資リスク、財務リターンの額、財務リターンの年平準化(コンスタント化)、社会的インパクト等を調整する手法をとっている。このように分散化を行うことで、投資家が手を出しやすくできる。さらにUBS自身も、同様の分散型SDGsファンド「Impact Multi-Vintage Program(MVP)」を2018年にも立ち上げ、このファンドの販売も強化していく。他にも毎年テーマ型投資を一つ以上商品ラインナップに加えていく。

 さらにUBSは、世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーのイニシアティブである「Align17」の創設にも参画する。Aligh17は、SDGs関連投資の新たなオンライン・プラットフォーム。SDGs分野への投資促進するために、投資案件を紹介するとともに、投資家、慈善基金、開発銀行、政府などの共同投資(Co-investment)を呼びかけていく。すでに、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、国連開発計画(UNDP)やロックフェラー・フィランソロピー・アドバイザーズ等が2014年に設立したSDG Philanthropy Platform、PwC、TPG GrowthなどがAlign17に関心を示している。Align17という名称は、SDGsの第17目標である「パートナーシップで目標を達成しよう」に由来している。

 SDGsの分野に対する資金提供プラットフォームでは、すでに類似のものが誕生しているが、これまでのものは開発銀行資金に民間投融資も巻き込む「ブレンデッド・ファイナンス」型のものが多い。しかしAlign17はそれとは一線を画し、慈善基金単独から利益志向投資単独までの全領域で最適な資金構成を推進していく。

 SDGsを含むESG投資の分野では、年金基金や保険会社など機関投資家の分野で先行して取組が浸透してきていた。今回UBSの発表により、もう一つの巨大な金融資産である個人富裕層資産の分野でもESG投資の動きが始まってきた。

【参照ページ】UBS commits to help mobilize private wealth for public good
【白書】Mobilizing private wealth for public good
【企業サイト】UBS

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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