【国際】GIC、石油ガス世界大手10社への集団的エンゲージメント結果と今後の課題を報告 2017/05/25 最新ニュース

 気候変動対応を強く求める世界規模の機関投資家団体GIC(Global Investor Coalition on Climate Change)は5月15日、北米と欧州の石油ガス企業10社を対象に実施した、気候変動対応を求める集団的エンゲージメントの結果と効果をまとめた報告書「Investor Climate Compass: Oil and Gas – Navigating Investor Engagement」をCDPと共同で発表した。

 同報告書を発表したGICは、企業に気候変動対応を強く求める機関投資家の地域団体である、欧州のIIGCC(Institutional Investors Group on Climate Change)、米国のINCR(Investor Network on Climate Risk)、オーストラリア・ニュージランドのIGCC(Investors Group on Climate Change)、アジアのAIGCC(Asia Investor Group on Climate Change)の4団体で構成されている。

 今回対象となった10社は、米エクソンモービル、米シェブロン、米オキシデンタル、米コノコフィリップス、カナダのサンコー、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(BGグループ含む)、英トタル、英BP、イタリアEni、ノルウェーのスタトイル。

 GICはこれまで、石油ガス企業に対し、情報開示要求、集団的エンゲージメント会議、株主総会決議、議決権行使ポリシー制定などを進めてきた。同報告書では、集団的エンゲージメントの結果として、スタトイル(ノルウェー)、Eni(イタリア)、トタル(英国)などで進展が見えた一方、エクソンモービル(米)などは遅れを取っていると総評した。

 また、機関投資家が関心を寄せる5つの分野について、今後の課題を分析した。

  • ガバナンス:調査対象となった10社のうち半数は、二酸化炭素排出量と役員報酬を連動させるようになった。しかし、長期的または戦略的な削減量を目指すインセンティブが設計された役員報酬制度を設けている企業はまだ2社しかない
  • 戦略:パリ協定で採択された温室効果ガス排出抑制の目標に適応したビジネス戦略のシナリオ分析を実施し滝行は10社のうち7社。IEA(国際エネルギー機関)が発表した「450ppmシナリオ」(温室効果ガス濃度を450ppm以下におさめるシナリオ)の財務影響を定量分析した企業はBPとスタトイルの2社のみ。
  • 戦略遂行:カナダのオイルサンドなどの大量の二酸化炭素排出を伴う化石燃料資産からのダイベストメント(投資引き揚げ)または投資削減を決定した企業は10社のうち3社のみ。また、2016年の10社合計設備投資のうち、低炭素関連投資はわずか1.5%のみ。エクソンモービルは気候変動対策、情報開示、株主との対話、いずれの分野でも後れを取っている
  • 透明性:スコープ1とスコープ2だけでなく、スコープ3も公開しているのは10社中8社。排出削減目標を設定しているのは4社のみ
  • 公共政策:パリ協定の目標達成の支持を明確にしているのは8社。しかし、国内及び国際環境政策への公的支援を強化する必要性がまだある。企業のロビー活動や企業団体は依然として低炭素社会への移行に向けた法規制に反発している

 GICは今後も、石油ガス企業への取組を強化していく。

【参照ページ】New Investor Report: Oil & gas companies show progress on climate change, but laggards like ExxonMobil remain way behind
【報告書】Investor Climate Compass: Oil and Gas

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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