アイルランド下院は7月12日、アイルランド国債管理庁(NTMA)が管理する「アイルランド戦略投資基金(ISIF)」の運用から、今後5年をかけて石炭、石油、天然ガス等全ての化石燃料から100%ダイベストメント(投資引揚げ)することを強制する法案を可決した。アイルランドは公的年金や政府系ファンド(SWF)から化石燃料からの100%ダイベストメントを決定する世界初の国となる。
【参考】【アイルランド】下院、政府系ファンドで化石燃料100%ダイベストメントする法案が第二読会を通過(2017年2月10日)
今回の法案は、ISIFが化石燃料採掘・精製関連の売上が全体の20%以上を占める企業へ投資することを禁止するもの。ISIFは2017年6月時点で、約150ヶ国の関連企業に3億1,800万ユーロ(約420億円)保有している。
アイルランド国債管理庁は、1990年に設立された政府機関で、政府資産と政府負債を管理。同庁は、2009年のアイルランド金融危機に対処するために設立された「国家資産管理公社(NAMA)」も管轄している。同庁管理の「アイルランド戦略投資基金(ISIF)」は2014年に設立され、アイルランド経済や雇用創出のための政府基金。現在は80億ユーロ(約9,700億円)の運用資産を保有している。
アイルランドは上院と下院の二院制を採っているが、アイルランド憲法は下院に大きな権限を与えており、法案を上院が否決しても下院の権限で「上院が可決したもの」とみなすことができるため、上院が法案を最終否決する権限がない。そのため、アイルランドでは下院可決が非常に重要な意味を持つ。
【法案】Fossil Fuel Divestment Bill 2016
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