【オーストラリア】政府、インドの石炭関連レポート発表。輸出先としての市場の将来性に期待 2019/08/28 最新ニュース

 オーストラリア産業・イノベーション・科学省のチーフ・エコノミスト室は8月22日、インドにおける石炭の将来性やオーストラリアとの関係性をまとめたレポートを発表した。同レポートは2015年にも発行され、今回は2019年版。石炭消費量や生産量、輸入量に係るデータをアップデートした。またインドの最新のエネルギー、電力、資源採掘に係る方針の調査結果と一般炭の将来性への影響を分析した。さらに同レポートではオーストラリアの石炭関連事業者の事業機会についても検討した。

 インドは世界第2位の一般炭の輸入国で、欧米や北東アジアの石炭需要が減る中、継続的に需要増長が見込める国と評価。その上で、石炭は今後もインドの経済成長と発展に重要な役割を担うと見たてた。裏を返すと、インドの一般炭輸入が減少した場合、市場に大きな影響を与える可能性があるとも言及した。

 インドが今後も石炭を利用すると予測する背景には、同国の急速な成長とエネルギー需要がある。世界第2位の人口を抱える同国は、エネルギー消費量でも世界第3位。だが依然として国民全員の電力需要を賄えているわけではなく、2017年時点でも1億6800万人が電力にアクセスできていない等、成長の余地がある。さらに、同国は新たな石炭火力発電所を設立しないことを明言する一方、すでに2020年代の石炭消費量増加に対応できるだけの十分な石炭火力発電設備容量を備えている。このことから、一般炭消費のさらなる成長が見込まれ、今後数十年間、インドのエネルギーミックスの大部分を占めると予測される。

 しかし、長期的な一般炭消費量の見通しは不透明な部分も少なくない。例えば、現状インドは一般炭需要の約80%を国内生産で満たすことができ、国内生産で充足できない分が輸入で賄われる。この輸入量がオーストラリアを含む海外石炭業者の機会となるが、長期的に同じ状況が続くとは言い切れないと分析する。他にも一般炭消費量は、再生可能エネルギー等の拡大度合いにも依存する。インドは野心的な再生可能エネルギーの目標を掲げており、最近では、大規模水力発電を除く再生可能容量の2028年目標を500GWに設定。2019年半ばの79GWから大幅な引き上げを目論んでいる。

 長期的な見通しが不透明とした上で、同レポートはオーストラリアにとっての課題と機会にも言及した。課題にはインドの電力価格規制や、オーストラリアの石炭とインドの石炭火力発電所の互換性の無さ等を挙げた。事実、2018年時点でインドの一般炭輸入量に占めるオーストラリア一般炭の割合はわずか4.5%に過ぎない。

 一方で、オーストラリアからインドへの投資額を増強し、オーストラリアの炭鉱とインドの発電所を垂直統合することで、インドにおけるオーストラリア一般炭の輸入量の引き上げを狙うことができる可能性があると分析。特にアダニの1,000万tのカーマイケル鉱山の開始は、オーストラリアからの一般炭のインドへの輸出を3倍にする可能性があるとした。また、採掘設備、技術およびサービス(METS)についても機会があり、オーストラリアの先進技術は、インドの炭鉱の生産性向上に寄与できるとした。

 同レポートは主に一般炭についてまとめているが、原料炭についても言及。インドは鉄鋼生産の増強を目標としているが、インドの原料石需要の70%以上は、オーストラリアからの輸入で賄われている。こうした状況から、原料炭についてはオーストラリアにとって、今後も確実に成長が見込めるものだとした。

 オーストラリアの現政権は、同国の主要輸出品目である石炭を推進する政策を採っている。昨今、欧州を中心とした石炭火力発電の落ち込みがあり、新たな市場機会を模索している。現状、同国の石炭輸出先の上位は中国、日本、韓国が占めるが、先進各国の需要の変化への対応が必要となる。今回発表されたレポートにあるように、石炭需要拡大が見込まれるインド市場を狙うのか。今後の同国の舵取りに注目が集まる。

【参考】Coal in India 2019 report

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

Facebookコメント (0)

ページ上部へ戻る