シンガポール政府系投資運用テマセク・ホールディングスのホー・チンCEOは11月14日、2030年までに投資ポートフォリオのカーボンフットプリントを半減すると発表した。さらに投資ポートフォリオのカーボンフットプリントをゼロにする検討もしていく。
チンCEOは、同社の投資先企業の中にはパリ協定や国連持続可能な開発目標(SDGs)の目標達成を先取りして進めている企業もあるとし、他の企業にも同様のアクションを促すと言及した。
同氏は、スピーチの中で、シンガポールが歩んできた独自の道を強調した。1980年代に東京やニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンで経済成長に伴う濃霧や水質汚染等が現実となったことを振り返り、シンガポールは、先進国を反面教師とし、経済成長と環境保護を両立させる道を追求してきたと語った。具体的には、植林、大気汚染当局の発足、シンガポール川の水質浄化等に取り組んできた。すべての家庭へ飲料水が行き渡るようにもなり、同国は環境政策が「コスト」ではなく「継続的な投資」だと証明したと力説した。
同国公益事業庁(PUB)の水道事業課は、数十年前まで成長に伴う水不足を懸念していたという。しかし、節水計画を策定し、経済開発委員会(EDB)と連携することで、半導体工場や石油化学工場等、産業界の節水とリサイクルを促進。水リサイクル率50%を実現し、水供給量を事実上2倍に増加させることに成功した。同国が次なる課題として設定しているのは廃棄物。電子廃棄物、食品廃棄物、パッケージング等の再利用やリサイクルに注力するとした。
また、企業における人の重要性や腐敗防止についても言及。気候変動や人口増加等のメガトレンドにより従来のビジネス慣行が通用しなくなっているからこそ、正しい事を正しく行うことで、社会の信頼を勝ち取ることが重要だとした。逆にまだ取り組み始められていない企業については、翌会計年度までに、電力消費量と輸送量を報告するよう要請した。
【参照ページ】Opening Address by Ho Ching at Global Compact Network Singapore Summit 2019 – Reimagining Business for Resilience
【画像】Temasek Holdings
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