【国際】WPS、水資源起因の社会紛争予測ツール開発。機械学習活用。イラク、イラン、マリ等 2019/12/11 最新ニュース

【国際】WPS、水資源起因の社会紛争予測ツール開発。機械学習活用。イラク、イラン、マリ等 1

 オランダ外務省と6研究機関で構成する国際イニシアチブ「Water, Peace and Security(WPS)」は12月5日、水資源に起因して生じる社会紛争を予測するツール「Global Early Warning Tool」を発表。致命的な課題化を未然に防ぐことを目指す。

 WPSは、オランダ外務省と、IHEデルフト水教育研究所(筆頭パートナー)、世界資源研究所(WRI)、Deltares、ハーグ戦略センター(HCSS)、国際湿地保全連合(Wetlands International)、nternational Alertの6つの機関で構成している。

 同ツールは、機械学習を活用し、過去20年における環境、経済、社会に関する80の変数と社会紛争のパターンを解析。今後12ヵ月におけるアフリカ、中東、南アジア、東南アジアの紛争リスクを予測した。2019年10月から2020年9月までの間、経済後進国とされる「グローバル・サウス」2,000ヶ所に、紛争リスクがあるという。課題の根源を理解するためには、さらなる詳細分析が必要となる。

 変数の中でも、特に水不足、洪水、水質汚染等は「脅威マルチプル」として計算され、イラク、イラン、マリ等では、重要な役割を果たすようになってきている。

イラク南部
 イラクは水利用の98%をチグリス川とユーフラテス川に依存しているが、同河川は流量の減少に伴い、塩水が上流に流れ込み、淡水供給量が減少している。一方、同国バスラ地域では経済成長を上回る速度で、人口増加が進んでおり、人口密度は20年前の2倍になる等、水リスクが高まっている。腐敗が横行し、失業率も8%を記録する同国では、2020年9月に、水資源に起因した紛争が勃発する可能性があると分析した。

イラン
 イランについても失業率は12%と高く、インフレ率は米国からの制裁により2018年に30%を記録。経済的要因により、紛争のリスクが高まる可能性があるとした。また同国は、時期により干ばつや洪水が発生する等、給水量の変動が大きく、全域にわたり水ストレスが高い。特にシスタン・バルチェスタン州、フゼスタン州等では、水質の悪さも重要な課題となっている。2019年10月から2020年9月までの期間、同地域やイラク国境で、多くの紛争の勃発が予測される。

マリ中部および南部
 マリは急速な人口増加を経験しており、首都バマコは過去20年間で人口密度が3倍以上に増加している。人口および人口密度の増加に伴い、農村地域では、水資源や土地等の天然資源を巡る紛争が激化。民族間の緊張をさらに高めている。数年前までは暴力を伴う紛争は、ほぼ同国北部に限定されていたが、2019年10月から2020年9月にかけて中心部や南部に伝播することが予測される。

水に起因した紛争の未然防止
 同レポートでは、容易でないとしつつも、暴動を最小限に留める方法を提示。たとえばイラクでは、主要都市の上下水道システムの改修と大幅拡大、チグリス川やユーフラテス川の水利用に関する国家間共有協定が、水に起因した紛争を防ぐ手立てとなると分析した。同国では、気候変動の影響がすでに現れ始めているため、水需要が高すぎる地域での使用制限、農業や都市部の水利用効率改善が求められる。

 WPSはイラクの国際移民機関(IOM)と協働で、イラク南部の水資源と水質、地域住民の移動の関係性をモデル化。水資源省やIOMらは、同モデルを活用し、社会不安の高まりや強制移住への対策を講じるとした。

【参照ページ】SIGNIFICANT RISK OF WATER-RELATED CONFLICT IN PARTS OF IRAQ, IRAN, MALI, NIGERIA, INDIA AND PAKISTAN OVER THE NEXT 12 MONTHS

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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