サステナビリティ・シンクタンクは、企業のESG評価の状況をまとめたレポートを発表した。機関投資家の間で、Sustainalytics(サステイナリティクス)のデータは活用されている一方、FTSEのESG評価はほぼ評価が低いことが明らかとなった。
今回のレポートは、英SustainAbilityが3月4日に発表した「Rate the Raters 2020」。SustainAbilityは1987年に創業した老舗。ロンドンの他、ニューヨークとサンフランシスコにオフィスがある。Rate ther Raterは、2010年に初めて発行され、2018年に2回目が、2019年に3回目が発行。今回が4回目となる。また今回のレポート作成では、BASF、シェブロン、ネスレ、straensoが活動スポンサーとなった。
機関投資家にとって最も有効なESG情報として認識されているものは、ESG評価機関の評価と企業との直接エンゲージメントが同率でトップ。次に企業のレポート、機関投資家内部のリサーチという順となる。メディアによるESGランキングや、有価証券報告書などの法定書類は非常に評価が低い。ESGデータの使用用途では、投資パフォーマンス向上のためや、自社分析の補完として活用しているシーンが多かった。
投資家観点での各機関のESG評価データの有用性では、上位からサステイナリティクス、CDP、MSCIの順。この3社は「有用」とした回答が「非有用」を上回っていた。次がRobecoSAMのCSAで「有用」と「非有用」が同数。さらにISSクオリティ、ブルームバーグESGパフォーマンス、ISS-oekom、トムソン・ロイターESGスコアと続き、これらは「有用」が「非有用」を下回った。またVigeo EIRISは、有用が0で、非有用が38%。FTSEは、「非有用」が100%だった。
投資家観点での各機関のESG評価データの質では、上位からRobecoSAMのCSA、CDP、サステイナリティクス、MSCI、ISSクオリティの順。次のブルームバーグESGパフォーマンスが「質が高い」と「質が低い」が同数。続いて、ISS-oekom、Vigeo EIRIS、FTSE、トムソン・ロイターESGスコアの順だった。FTSEとトムソン・ロイターESGスコアは、「質が高い」がゼロだった。
投資家の今後の期待では、ESG評価手法の質と開示が最多。マテリアリティへの特化については、42%が「最も望む」と答えた。評価過程で評価先企業とのエンゲージメントを求める声はほとんどなかった。また評価手法の統一化についても、求める声は3分の1ほどしかなかった。
【参照ページ】Rate the Raters 2020
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