環境NGOの気候ネットワークは3月13日、みずほフィナンシャルグループに対し、株主として、気候関連リスクおよびパリ協定の目標に整合した「投資(原文ママ)」を行うための計画を開示するよう求める株主提案を提出した。気候変動に関する株主提案は日本では初。
今回の株主提案は、「当会社がパリ協定及び気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同していることに留意し、パリ協定の目標に沿った投資を行うための指標および目標を含む経営戦略を記載した計画を年次報告書にて開示する。」という条項を、定款に規定するよう求めるもの。日本の会社法では、株主が提案できるのは議決権を行使できる事項に限定されている。気候ネットワークによると、企業の定款に関する事項はこれに含まれ、定款変更の提案は最もよく用いられる株主提案の形となっているという。
気候ネットワークの株主提案は、株主の資産保護を目的として出された。同提案では、みずほフィナンシャルグループが開示を実施することで、投資家が気候関連リスクを適切に評価し、価格付けすることが可能となるという論理を展開した。
また同NGOは、みずほフィナンシャルグループの現状について、「融資状況は、気候リスクの管理を行っているとは言えません。特に石炭に関しては、石炭関連産業に関係する世界的な金融機関をまとめた2019年12月のレポートにおいて、みずほFGは石炭事業者に対する世界最大の貸付を行っている機関と指摘されてい」ると批判。「現在も、ベトナムで計画されているブンアン2(Vung Ang 2)石炭火力発電所計画を含め、みずほFGは、国内外の石炭関連事業のプロジェクトファイナンスに関与し続けています。みずほFGの現行方針は、融資を超々臨界圧発電方式(USC)を採用している石炭火力発電事業に限定するというものですが、実際にはどこででも石炭火力発電事業に資金提供できるような抜け穴があ」ると指摘した。
日本の会社法では、定款変更には出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要。2019年9月30日時点での同社の株主構成は、個人その他30.86%、金融機関29.17%、外国法人等23.05%、その他の国内法人11.87%、証券会社5.02%、政府及び地方公共団体0.03%。議決権の3分の2を取れるかは未知数だが、海外投資家の注目を集める可能性がある。
【参照ページ】【プレスリリース】みずほフィナンシャルグループの株主として 日本初の気候変動に関する株主提案を提出(2020年3月16日)
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