気候変動対応を企業に求める欧州機関投資家団体IIGCCは5月27日、機関投資家向けに、気候変動物理的リスクを投資意思決定で考慮するためのガイダンスを発行した。コンサルティング会社AcclimatiseとChronos Sustainabilityが制作し、英大学教職員年金基金USSも協力した。
今回のガイダンスは、気候変動がもたらす物理的リスクの内容を伝えるところから始まり、物理的リスクが各セクターにもたらす具体的なリスクの中身、各アセットクラスでのポートフォリオ・マネジメントでの物理的リスクでの考慮方法、リスク分析、機会分析までの一連の流れを解説している。各セクションでは、データや手法に関するガイダンスに関するリストも付けており、実務家に配慮した内容となっている。
また、PDCAを回すための、マネジメント、モニタリング・レビュー、レポーティングについても盛り込んだ。一方で、物理的リスクの計算方法や、ポートフィリオでのリスク・エクスポージャーの計測手法については記載しなかったが、事例としてブラックロック、AVIVAの手法と、ClimateWiseのフレームワークを紹介した。
ケンブリッジ大学の研究では、2040年までに異常気象による経済損失は1,000億米ドル(約11兆円)。さらに、シュローダー等の分析では、気温3℃上昇で9.5兆米ドルの生活所得が奪われ、4℃になると23兆米ドルにまで膨れ上がる。これらの試算は保守的な見積もりで、実際にはさらに増える見込みがあると指摘し、機関投資家に物理的リスクの考慮を促した。
IIGCCは今回、ガイダンスの短縮版も同時に用意。アセットオーナーと運用会社向けのステップだけを抜粋したバージョンも発表した。
【参照ページ】New guidance enables investors to act on physical risks of climate change
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